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日記一覧 (2012年1月19日)

3件中 1件〜3件を表示

01月19日
15:10

アメフトは選手の入れ替えに、(一部入れ替わり不能なポジションもあるが、基本的にあらかじめ登録しておけば)ほとんど制限がない、というめずらしいスポーツです。ただし、ポジションにより要求される能力に大きな違いがあるために、誰もがどのポジションにもつけるというわけではありません。逆に能力が高ければ、さまざまなポジションにつくことができます。
また、チームの持つ基本ユニットが、攻撃、守備、キック、リターン、と4種類あるため、別々のメンバーを用意するとこれだけで44人必要になります。しかし大丈夫。NFLの場合ベンチ入りできるメンバー(「ロースター」といいます)は現在53人。攻撃、守備専門要員もいますが、場面によっては同じ選手が攻撃に参加したり、リターンに参加したりすることもあります。どの選手に何をさせるか、誰をどこのポジションで使うかはチームの自由裁量で、基本的に変更不可能なポジションでもあらかじめ申請することで、ルール上「パス」をレシーブできない「ライン」の選手が「タイトエンド」として「パス」攻撃にレシーバーとして参加することもできるのです。
また、消耗の激しいポジションには必ず交代要員が用意されていて、適時入れ替えますし、同じ「ランニングバック」でも、突破力が高い選手や、短いヤードを確実に獲得する当たりに強い選手など、それぞれの得意なプレーにあわせて交代します。

そんなアメリカンフットボールですが、ほぼ交代要員がいないというポジションがあります。それが「キッカー」です。
アメリカン・フットボールではフットボールといいながら、足でボールに対してプレーできるのはこの「キッカー」だけです。キッキングのとき意外はキッカーも含めて足でボールを蹴ってはいけないのです。

「キッキングプレー」に登場する「キッカー」は、足でボールを蹴ることで、「パント・キック」によって自陣エンドゾーンから敵を遠ざけたり、タッチダウンが狙えない場合に「フィールドゴール」で得点をあげるという、重要な役目があるのですが逆に言えば、それ以外ではプレーに参加しないという本当の専門職です。そしてもう2人、キッキングゲームのときに必要になるのが「ロング・スナッパー」と「ホルダー」という選手です。

「キッキング」には2つの種類があります。ひとつは静止したボールを蹴る「プレース・キック」。これは「キック・オフ」や「フィールドゴール」の時の「キッキング」です。
もうひとつが「ドロップ・キック」これは、「キッカー」が手に持ったボールを落下させ、そのボールを蹴るプレーで「パント」の時のプレーです。
「プレースキック」「パント」それぞれに必要なキックの技能が異なるため、チームは普通、「プレース・キック」専門の「プレース・キッカー」と「パント」専門の「パンター」の2人を用意します。
とうことは、めったにないことですが、もしどちらかの「キッカー」が怪我などで出場不可能となると、ひとりの「キッカー」が両方の「キック」をしなければならなくなり、とたんにどちらの場合でも専門外の「キック」の成功率が下がってしまいます。実際NFLでは「プレースキッカー」が負傷退場し「フィールドゴール」を「パンター」が蹴ったということもありました。その上さらに「パンター」までいなくなったら、あるいはもともと一人の選手がキックを担当していたら、当然だれかキックのましな選手が代わりをつとめなければなりません。そういうこともNFLではありました。

「キッキング・プレー」は主に「キックオフ」と「フィールドゴール」「パント」そして「トライ・フォー・ポイント」がありますが、「キックオフ」以外のプレーでは「キッカー」以外に専門のプレーヤーがプレーに参加します。
一人は「ロング・スナッパー」という選手です。
攻撃プレーは「センター」がボールを「スナップ」することで始まりますが、「フィールドゴール」の場合には、「キッカー」がスクリメージラインから、あらかじめ7ヤード、「パント」は「パンター」がその倍の距離、下がった場所に位置します。これは「キック」を守備チームに邪魔されないように、あらかじめ距離を置く必要があるからです。「フィールドゴール」は普通「サードダウン」の後の「フォースダウン」のプレーです(実際にはいつ蹴ってもかまいません。途中でやめた場合は通常の「ダウン」となります)。失敗すればその場で「フォースダウン」終了になってしまいますし、万が一「インバウンズ」で守備選手がボールを取れば「ターンオーバー」となってしまいます。「パント」も「サードダウン」後のプレーで、攻撃権は放棄しているためボールを蹴ってしまえば「フォースダウン」とはなりませんが(つまり逆に言えば蹴らなければ「パント」にならず、「フォースダウン」扱いになるわけです)、どちらも守備チームと向かい合った状態でプレーすることになり、ボールが「スナップ」されれば守備選手は「キック」成功を阻止しようと蹴られたボールを叩き落すため、スクリメージランを越えてボールに向かって殺到します。攻撃チームはこれを「ブロック」でとめますが、時には守備選手が「ブロック」を突破して蹴られたボールを叩き落すことがあるのです。
スクリメージラインの後方7ヤードで「キック」するために、「スナッパー」はボールを7ヤードの距離「スナップ」しなければなりません。これが意外と難しく、そのため「オフェンスライン」の「センター」とは別に、「ロング・スナッパー」という「キッキングプレー」専門の「スナッパー」を用意するのです。

「パント」の場合、さらに長い距離「スナップ」されたボールは「パンター」が直接受け取り、「ドロップキック」による「パント」を行いますが、「フィールドゴール」は成功率を上げるため静止したボールを蹴らなければなりません。(実は「ドロップキック」でも狙えるとルールブックにあるそうですが、NFL関係者はもちろん現在地球上に生存するほとんど誰も「ドロップキック」による「フィールドゴール」を見たことはないそうです)そのため「キッカー」とは別に「ロング・スナップ」されたボールを「キッカー」のために保持する「ホルダー」という選手が必要になります。
つまり「フィールドゴール」の場合、「ロング・スナッパー」が7ヤード後方に「スナップ」し、「ホルダー」がボールを支え、「キッカー」がボールを蹴る、というプレーが行われます。
「フィールドゴール」は試合を左右する重要なプレーなので、この3つのポジションには「キッキング・ユニット」として専門の選手をそろえるチームがほとんどですが、「ホルダー」は他のポジションの選手がかねることもままあります。「クウォーターバック」が「ホルダー」役を務めることもあるんですよ。それがある映画のネタ(「エース・ベンチュラ」ですが)になったこともありました。

「キッキング」には4つのプレーがあると前に書きましたが、「キックオフ」「フィールドゴール」「パント」の他に「トライ・フォー・ポイント」の時の「キック」があります。

攻撃チームが「タッチダウン」を奪って得点すると。ボーナス・プレーとして、「トライ・フォー・ポイント」を行います。
これに成功すれば「タッチダウン」の得点の上にさらに得点を加えることができます。「タッチダウン」の後のボーナスポイントを「ポイント・アフター・タッチダウン」といいます。
「トライ・フォー・ポイント」はエンドゾーン前2ヤードの位置にボールを置き、そのスクリメージランから再びエンドゾーンにボールを持ち込むプレーと、同じく2ヤードの距離から「フィールドゴール」と同様に「キック」でゴールポストの間にボールを蹴りこむプレーの2種類があります。
通常は「キック」で望みます。このときには1点加算されます。
エンドゾーンにボールを持ち込めば2点が加算されるので、このプレーを「2(ツー)ポイント・コンバージョン」と呼びます。
試合の進行具合によっては、時に、どうしても2点獲得しなければならなくなる場合があるわけです。
「キック」で1点を狙う場合は単に「トライ・フォー・ポイント」と呼ばれます。
この場合の「キック」は「フィールドゴール」と同じキッキングチームでおこなわれます。成功すれば得点。どんな形で失敗しても、単にボーナス点がはいらなかっただけ、という結果になります。「2ポイントコンバージョン」も同様で、どのようなかたちで失敗しても単に無得点となるだけです。たとえば「パス」が「インターセプト」されそのまま守備選手が走ってキッキングチーム側のエンドゾーンまでボールを持ち込んでも「お疲れ様」というだけになるわけです。時々ターンオーバーと勘違いして真ん中ぐらいまで走って(リターンのつもり)から、気がついてストップする選手がいます。まあ、それだけ普段の守備プレーが体にしみこんでいるということでもあると、いえばいえなくもなくなくない・・・。プロなのに・・・。

「キックオフ」の時の「キッキング」ではボールはあらかじめ静止状態でフィールド上に置かれているため「スナッパー」も「ホルダー」も必要ありません。

「キッキングチーム」のほかのメンバーは攻撃守備の選手から選ばれて、編成されます。
「キックオフ」の場合、相手チームは「リターン」を行う「リターンチーム」を投入してきます。そのため、キッキングチームには「リターン」阻止のために「リターナー」に確実に「タックル」する能力が求められます。
「リターンチーム」は専門の「リターナー」を用意する場合もありますが、その選手も実際は「ランニングバック」や「ワイドレシーバー」の交代要員としてそのポジションで登録されている選手です。他の選手はキッキングチーム同様に攻撃守備要員から選ばれて参加します。「リターナー」を助けるために「ブロック」するのが彼らの役目です。
「パント」と「フィールドゴール」の場合、攻撃チームは「スナップ」後に「フォースダウン」の通常攻撃に切り替えるというトリックプレーを仕掛けてくることがあるため、守備選手がそのままプレーすることになります。「パント」では「リターナー」のみが「セイフティ」などの「ディフェンスバック」と入れ替わったり「セイフティ」がそのまま「リターナー」を勤めたりします。

01月19日
06:44

次は守備チームの11人です。
守備チーム、ディフェンス・チームは現在その配置に主に2つの種類がありますが、多くのチームが採用している「4-3(フォー・スリー)ディフェンス」と呼ばれる守備チームをみてみましょう。

ライトガード(ディフェンス・ガード)
レフトがード(ディフェンス・ガード)
ライトタックル(ディフェンス・タックル)
レフトタックル(ディフェンス・タックル)

ラインバッカー(ミドル・ラインバッカー)
ラインバッカー(アウト・ラインバッカー)
ラインバッカー(アウト・ラインバッカー)

コーナーバック(ライト・コーナーバック)
コーナーバック(レフト・コーナーバック)
セーフティー(フリー・セーフティー)
セーフティー(ストロング・セーフティー)

この11人が基本パッケージです

最初の4人は「ディフェンス・ライン」と呼ばれ、スクリメージラインに沿って位置する最前線の選手です。役目は攻撃チームの「オフェンス・ライン」を破ってクウォーターバックやランニングバックに「タックル」し可能な限りすばやく「ダウン」させることです。
「パス」守備で積極的にクウォーターバックに向かってプレーすることを「パス・ラッシュ」といい、攻撃チームがクウォーターバックを守ることを「パス・プロテクト」といいます。また、「パス」を投げる前のクウォーターバックに「タックル」して「ダウン」を奪うことを「クウォーターバック・サック」あるいはただ単に「サック」といいます。
「ディフェンス・ライン」は「パス」攻撃に対して、クウォーターバックに「パス・ラッシュ」をかけ、攻撃チームの「パス・プロテクト」を破って「クウォーターバック・サック」を狙うわけです。
「サック」が成功すれば、攻撃チームはスクリメージラインから下がった位置で「ダウン」することになり、大きな「ロス」になってしまいます。つまり守備チーム、ディフェンス・チームにとって「クウォーターバック・サック」はビッグプレーというわけです。

次の3人「ラインバッカー」は守備チームの要。「ディフェンス・ライン」のすぐ後方に位置しますが、「ディフェンス・ライン」に混じってスクリメージラインにそって位置することもあります。
目的は「ディフェンス・ライン」と同様ですが、「ラインバッカー」はより多くの役目を果たします。
「ラン」守備の場合、「ライン」と並んで最前線でボールキャリヤー「ランニングバック」に対する壁となりますが、あらかじめ「ライン」の後方に位置しておいて「ライン」にあいた隙間から「ランニングバック」が走り出ようとするタイミングで「タックル」したり、この開いた穴から逆に攻撃側に進入し、スクリメージライン到達前の「ランニングバック」に「タックル」することが目的です。3人いる「ラインバッカー」は誰がどこを塞ぎ、誰がどこから進入するか、誰が「ランニングバック」の突破に「タックル」するかをプレーごとに判断します。
「パス」守備の場合には、ひとつは「ライン」とならんで「オフェンス・ライン」の「パス・プロテクト」を突破し、「クウォーターバック・サック」を狙います。特に「ラインバッカー」が仕掛ける「パスラッシュ」を「ブリッツ」と呼ぶことがあります。スクリメージラインから、あるいはスクリメージラインやや後方から数歩の助走を取って「スナップ」と同時に攻撃側に走りこみ、一気に「サック」するイメージから「ブリッツ(電撃)」と呼ばれるプレーです。なぜそんなことが可能なのかは、また後で。
また「パス」守備では「ダウンフィールド」に出てくる攻撃側レシーバー、主に「タイトエンド」やフィールドの内側にはいってくる「ワイドレシーバー」に対して「パス」を防ぐためのプレーを行う場合もあります。「パス」を防ぐためにレシーバーをマークしてプレーすることを「パス・カバー」といいます。「ラインバッカー」が全員あるは何人かで「ブリッツ」をしかれば当然その分だけダウンフィールドの守備、つまり「パス・カバー」が手薄になってしまいます。「ラインバッカー」は、状況を見てそれぞれのプレーを使い分けなければいけないわけです。また「ゾーン・ブリッツ」という「対パス守備」があり、これで対抗することもあります。

「ディフェンス・ライン」が4人、「ランバッカー」が3人、このタイプの守備を「4-3ディフェンス」と呼びます。
「ディフェンス・ライン」が3人、「ラインバッカー」が4人、の場合は「3-4(スリー・フォー)ディフェンス」です。
プレーヤーの能力や、ディフェンスの考え方によってそれぞれのチームがチーム事情にあった体型を採用しています。

攻撃側に司令塔「クウォーターバック」がいるように守備チームにもリーダーがいます。大抵は「ラインバッカー」の誰かがチームリーダーです。ポジション的にも攻撃側のプレーを把握しやすい位置にいるからでもあります。攻撃側のプレー選択「プレーコール」を読み、どういう守備体型をしくのかをチームに指示するのが役目です。「ラン」か「パス」か、「ラン」であれば攻撃チームはどこを突破して来ようとするか、右か左か中央か、あるいは「ラン」と見せかけて「パス」かもしれない。何人で「パス・ラッシュ」を仕掛けるか、あるいは「パスラッシュ」の人数を減らし「パス・カバー」を厚くするのか。攻撃側同様、守備チームもプレーごとに作戦をめぐらし、対抗するわけです。

「コーナーバック」と「セイフティ」をあわせて「ディフェンス・バック」と呼びます。守備チームが守るのは「ダウンフィールド」ですが、守備側から見ればバックフィールドでもあるからです。また最前線でプレーする「ディフェンス・ライン」と「ランバッカー」の後方に位置することから「セカンダリィ(第2列、第2陣の意味)」ともよばれます。

「コーナーバック」は「パス・カバー」専門のプレーヤーです。主な仕事はダウンフィールドに出てくる「ワイドレシーバー」に対する「パス・カバー」です。普通一対一で「ワイドレシーバー」と対決することになります。優秀な「コーナーバック」がいれば「ワイドレシーバー」のパスキャッチをことごとく防ぎ、「パス」により前進を阻むことができるわけです。逆に「コーナーバック」がミスを犯せば、攻撃側に大きな「ゲイン」を許すことにもなります。

二人の「セイフティ」、「フリー・セイフティ」と「ストロング・セイフティ」は守備チームの最後方に位置している選手です。
「ラン」守備では、「ディフェンス・ライン」「ラインバッカー」を突破してダウンフィールドに出てくるボールキャリヤー「ランニングバック」に対する最後の守りです。ここを突破されてしまえば後は無人のフィールドで「タッチダウン」必至となってしまいます。
「パス」では主に「コーナーバック」を助けて「パス・カバー」を行いますが、2人以上のレシーバーがいる場合コーナーバックがマークするレシーバー以外のレシーバーのマーク役にまわることもあります。
「ワイドレシーバー」に「パス」が投げられた場合「コーナーバック」が「ワイドレシーバー」のキャッチを阻止できなければ「ラン・アフター・キャッチ」を「タックル」で防ぐためにバックアップとしてその場に駆けつけます。また、「ワイドレシーバー」が「コーナーバック」を振り切ってダウンフィールドの内側に入り込んだような場合には「コーナーバック」からマークをひきつぎ「ワイドレシーバー」と対決します。
「セイフティ」は2人がそれぞれダウンフィールドの右側左側を守ります。スクリメージラインに並んだ攻撃チームの「センター」をはさんで人数の多い側(普通「タイトエンド」がつく側ですね、「タイトエンド」は大抵一人なので左右どちらかの人数が一人多くなるわけです)を「ストロングサイド」といい、この「ストロング・サイド」に守備位置を取るのが「ストロング・セイフティ」です。二人の「セイフティ」の役目に違いはありません。
「セイフティ」の守備範囲は非常に広く、また攻撃プレーによって様々な判断とプレーが要求されるため汎用性の高い能力が求められます。

「コーナーバック」と「セイフティ」は時に、本来の守備位置から離れ、「ディフェンス・ライン」「ラインバッカー」とともに「パスラッシュ」を仕掛けることがあります。「コーナーバック・ブリッツ」「セイフティ・ブリッツ」と呼ばれるプレーです。攻撃側にとっては、「パスラッシュ」に余計な人数が参加することで「パス・プロテクト」の人数が足りなくなり、一気に「サック」されてしまう可能性があります。逆に、守備側にとってはダウンフィールドの選手が欠けることになり、「サック」に失敗すれば、たとえば「ブリッツ」をしかけた「コーナーバック」の到達前に「パス」を投げられてしまえば「パス」がやすやすと成功してしまうかもしれないわけです。ですからここぞという時、たとえば「ファーストダウン」更新には「パス」しかない、というような場面で行われるスペシャル・プレーです。

攻撃チームがプレーの目的によって選手を入れ替えるのと同様、守備チームも選手を入れ替えることがあります。たとえば「ラインバッカー」を一人減らして「セイフティ」を5人目の「ディフェンス・バック」として加える体型で、「ニッケル・バック」と呼ばれます。「パス」攻撃に対抗する陣形ですね。あるいは逆に「セイフティ」を減らし、「ランバッカー」を増やすこともあります(3-4の場合ではラインバッカーが5人ということになります)。「ラン」と短い距離の「パス」に対抗する陣形です。どちらも攻撃側のプレーを読んで決め打ちする陣形になるわけです。

守備チームは守備といいながら、実は積極的に攻撃チームに対して「守備」を仕掛けていきます。時には「ターンオーバー」で攻撃権を奪いとりそのまま「タッチダウン」してしまうこともあるのです。
「攻撃は最大の防御」といいますが、アメリカン・フットボールでは「防御は最大の攻撃」でもあるのです。


攻撃チーム、守備チームそれぞれのプレーヤーが、それぞれの特別な得意技をもってプレーするのがアメリカン・フットボールの面白いところです。
時にはそれこそ「あっ」というようなスペクタクルなプレーや「なんじゃそりゃ?」というほとんど漫画のようなシーンが飛び出すこともありますよ。「ワイドレシーバー」などは1シーズンに一回くらいは重力を無視したプレーをします。いや、マジで。

01月19日
04:26

ここまでアメフトの試合の進行具合をみてきましたから、次はプレーヤーについてみてみましょう。
フィールドでプレーする攻撃、守備の22人のプレーヤーはチェスの駒のようにそれぞれの役割だけでなく、できることできないことまでが決まっています。
また、名称がちょっとややこしいのは、「配置による名称」と「役割による名称」があり、この二つが違う場合があるからです。
ではまず攻撃側から。

攻撃チーム、オフェンス・チーム11人の基本パッケージ。

センター(スナッパー)
ライト・ガード(オフェンス・ガード)
レフト・ガード(オフェンス・ガード)
ライト・タックル(オフェンス・タックル)
レフト・タックル(オフェンス・タックル)

クウォーター・バック

フル・バック
テイル・バック(ランニング・バック)
ワイド・レシーバー
ワイド・レシーバー
タイトエンド

最初の5人は「オフェンス・ライン」または「ラインメン」と呼ばれ、スクリメージランを挟んで守備チームと向かい合う最前線の選手です。中央に「センター」そのすぐ右に「ライトガード」左に「レフトガード」、その外側にそれぞれ「ライトタックル」と「レフトタックル」が位置します。
この5人は5人で1ユニット。必ず攻撃プレーに参加します。
「ラン」プレーの時には、「ブロック」によって守備選手のバックフィールド進入を防ぎ、ボールキャリヤーのために道を確保することが役目です。
「パス」プレーでは、パスを投げるクウォーター・バックを守備チームの「パスラッシュ」「ブリッツ」から守るための盾になります。
「パス」プレーではオフェンス・ラインの5人はパスが投げられるまで、「スクリメージライン」を越えて「ダウンフィールド」に入ることができません。またこの5人には「パス」を受ける資格がありません。「パス」されたボールを受けてしまうと「反則」になってしまいます。
5人の「オフェンス・ライン」こと「ラインメン」は、個人で目立つようなことはありませんがもっとも重要なポジションであるといえます。「ラン」「パス」ともに、この5人の活躍が成功の鍵を握っています。彼らが守備チームを牛耳ってクウォーターバックを守り、ボールキャリヤーの道を開くことが勝利を招きます。

オフェンス・ラインの一人「センター」には特別な役目があります。それはプレー前、スクリメージライン上にあるボールに手を置き、クウォーターバックの合図でそのボールを自分の後ろに位置するクウォーターバックに渡す仕事があるからです。これを「スナップ」といい、「スナップ」する選手を「スナッパー」といいます。「センター」は「スナッパー」でもあるわけです。
プレーはボールが「スナップ」された瞬間から始まります。ボールが「スナップ」されるまで、攻撃守備ともにスクリメージラインを越えて相手のフィールドに侵入してはいけません。
オフェンス・ラインで特に重要な選手がもう一人います。それは「ライトタックル」または「レフトタックル」です。
クウォーターバックが右利きなら「レフトタックル」左利きなら「ライトタックル」になります。
「パス」プレーの時、クウォーターバックは「スナップ」を受けると、ボールを投げる体制を取るためスクリメージラインに対して半身の状態になります。このとき、右利きなら右斜めを向き、左利きなら左斜めをむくことになり、どちらの場合も向いたほうの反対側が死角になります。死角から迫る守備選手に対してクウォーターバックは無防備になります。この死角を守るのが「オフェンス・タックル」の役目です。

「クウォーターバック」はチームの司令塔です。
普通「クウォーターバック」はセンターのすぐ後ろに位置し、「センター」から「スナップ」されたボールを受け取ります。攻撃プレーは「クウォーターバック」がボールを持った瞬間から様々に展開していきます。
「クウォーターバック」は多忙です。攻撃プレーの時、ベンチにいるオフェンスコーチ(監督であるヘッドコーチ場合もあります)からのどんなプレーを行うかの指示「プレーコール」を他の選手に伝え、時には守備の配置を見てその場で「プレーコール」を変えたり(「オーディブル」といいます)、「スナップ」のタイミングを決定し、「ラン」プレーではボールキャリアにボールをわたし、「パス」プレーでは「パッサー」としてボールを投げる役目をする攻撃プレーの中心選手です。「クウォーターバック」の力だけで試合に勝てるわけではありませんが、「クウォーターバック」の能力が優れていなければ試合に勝つことはかなり難しくなるのです。

クウォーターバックの後方に位置するのが「フルバック」と「テイルバック」の二人です。
「フルバック」は「ラン」の時にはボールキャリヤーとなる「テイルバック(ランニングバック)」のすぐ前を走り、ボールキャリヤーに対する守備の「タックル」を「ブロック」で防ぐ役目を担います。「ラン」に対する守備チームの壁を直接突き崩す役目というわけです。
「パス」の場合には「ラインメン」と同様にクウォーターバックの守りにつくのが普通ですが、時には前進して「パス」をキャッチすることもあります。
しかしやはり「フルバック」の基本プレーは味方の攻撃を助けるための守りのプレーです。「縁の下の力持ち」という言葉がぴったりあてはまるポジションです。
「テイルバック」は通常「ランニングバック」と呼ばれる選手が担当します。実際たいていの場合「ランニングバック」と呼ばれます。
「ランニングバック」は「ラン」プレーの時の攻撃チームの主役です。
「ラン」プレーの時、「ランニングバック」の役目はその名の通りクウォーターバックからボールを手渡されてボールキャリヤーとなり、「オフェンスライン」が押しとどめる守備チームの隙間を狙って敵陣へ向かって走りこむ役目を担います。まさに体当たりの仕事です。時には1ヤードの前進のために全力で真正面から守備チームの壁に突撃していきます。守備チームの「タックル」をもっとも受ける選手でもあり肉体的にも精神的にも最高のタフネスが求められると同時に機敏な動きと数歩走っただけで全速力に到達する特別な足の速さも必要です。
「パス」プレーの時には、クウォーターバックの守りにつきますが時には、近距離でのパスキャッチを受けることもあります。

「ランニングバック」が「ラン」プレーの主役なら「パス」プレーの主役が「ワイドレシーバー」です。
「ワイドレシーバー」は通常スクリメージラインに沿って左右に一人づつ配置されます。その役目はその名の通り、「パス」プレーの時、クウォーターバックが投げるパスを「インバウンズ」でキャッチすることです。「アウト・オブ・バウンズ」でキャッチしたり、インバウンズでもキャッチできなければ「パス失敗」です。守備チームの妨害をかわし、パスをキャッチすればボールキャリヤーとなって「ラン」プレーを開始しますが、守備選手はそうはさせまいと「キャッチ」の瞬間を狙って「タックル」してきます。パスキャッチのため飛んできたボールを守備選手の妨害のなかででも確実に取る能力はもちろん、パスされたボールが落下してくる場所へ守備チームより早く到達する走力や、そこに到達するまでに守備選手のマークを振りほどく機敏さ、「タックル」に耐えるタフネス。「ラン・アフター・キャッチ」のための走力などの高い身体能力が求められる花形ポジションです。
「ラン」プレーのときでも「ワイドレシーバー」は「ランニングバック」のために囮となってダウンフィールドに走りこみます。守備選手の何人かがパスを防ぐために「ワイドレシーバー」についてくることで、守備選手を分けることが目的です。また、「ランニングバック」が守備チームの第一線を突破してダウンフィールドに走り出たときには、これを「タックル」しようとする後方に位置する守備選手を「ブロック」する役目も受け持ちます。

「タイトエンド」は特別なポジションです。通常は「オフェンスライン」とともにスクリメージラインに沿って左右どちらかの「オフェンス・タックル」のすぐ外に位置します。
「ラン」の時には「オフェンスライン」と同様に守備チームを「ブロック」。
「パス」の時にはクウォーターバックのための「ブロック」だけでなくダウンフィールドに出て「パスキャッチ」もします。また、最前線からダウンフィールドに走り出ることができる(オフェンス・ラインはできません)ので「ワイドレシーバー」のための囮になることもできますし、「ワイドレシーバー」の「パスキャッチ」後には「ラン・アフター・キャッチ」のための「ブロック」要員にもなります。
「オフェンス・ライン」と並んで最前線で「ブロック」するタフネスと「ワイドレシーバー」のように「パス」を受ける能力の両方が要求され、状況に応じてすばやく目的を切り替えることのできる汎用(ユーティリティー)プレーヤーが「タイトエンド」です。

この11人が基本ユニットですが、状況に応じて選手が入れ替わることがあります。たとえば「フルバック」のかわりに3人目の「ワイドレシーバー」を入れたり、「タイトエンド」を入れて「オフェンス・ライン」の左右に「タイトエンド」を配置することもあります。「フルバック」ではなく「ランニングバック」のかわりに「ワイドレシーバー」「タイトエンド」を入れる場合もあります。「タイトエンド」を抜いて「ワイドレシーバー」を入れることもします。
それぞれどういう状況でどんなプレーをどんな目的で行うかで、決まります。
たとえば「ワイドレシーバー」を3人にすれば普通明らかに「パス」狙いですが、そうと見せかけて「ラン」プレーなどということもわりとしょっちゅうあったりします。

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