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2012年01月19日 15:10

アメフトルールこれ簡 その7

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Good!
アメフトは選手の入れ替えに、(一部入れ替わり不能なポジションもあるが、基本的にあらかじめ登録しておけば)ほとんど制限がない、というめずらしいスポーツです。ただし、ポジションにより要求される能力に大きな違いがあるために、誰もがどのポジションにもつけるというわけではありません。逆に能力が高ければ、さまざまなポジションにつくことができます。
また、チームの持つ基本ユニットが、攻撃、守備、キック、リターン、と4種類あるため、別々のメンバーを用意するとこれだけで44人必要になります。しかし大丈夫。NFLの場合ベンチ入りできるメンバー(「ロースター」といいます)は現在53人。攻撃、守備専門要員もいますが、場面によっては同じ選手が攻撃に参加したり、リターンに参加したりすることもあります。どの選手に何をさせるか、誰をどこのポジションで使うかはチームの自由裁量で、基本的に変更不可能なポジションでもあらかじめ申請することで、ルール上「パス」をレシーブできない「ライン」の選手が「タイトエンド」として「パス」攻撃にレシーバーとして参加することもできるのです。
また、消耗の激しいポジションには必ず交代要員が用意されていて、適時入れ替えますし、同じ「ランニングバック」でも、突破力が高い選手や、短いヤードを確実に獲得する当たりに強い選手など、それぞれの得意なプレーにあわせて交代します。

そんなアメリカンフットボールですが、ほぼ交代要員がいないというポジションがあります。それが「キッカー」です。
アメリカン・フットボールではフットボールといいながら、足でボールに対してプレーできるのはこの「キッカー」だけです。キッキングのとき意外はキッカーも含めて足でボールを蹴ってはいけないのです。

「キッキングプレー」に登場する「キッカー」は、足でボールを蹴ることで、「パント・キック」によって自陣エンドゾーンから敵を遠ざけたり、タッチダウンが狙えない場合に「フィールドゴール」で得点をあげるという、重要な役目があるのですが逆に言えば、それ以外ではプレーに参加しないという本当の専門職です。そしてもう2人、キッキングゲームのときに必要になるのが「ロング・スナッパー」と「ホルダー」という選手です。

「キッキング」には2つの種類があります。ひとつは静止したボールを蹴る「プレース・キック」。これは「キック・オフ」や「フィールドゴール」の時の「キッキング」です。
もうひとつが「ドロップ・キック」これは、「キッカー」が手に持ったボールを落下させ、そのボールを蹴るプレーで「パント」の時のプレーです。
「プレースキック」「パント」それぞれに必要なキックの技能が異なるため、チームは普通、「プレース・キック」専門の「プレース・キッカー」と「パント」専門の「パンター」の2人を用意します。
とうことは、めったにないことですが、もしどちらかの「キッカー」が怪我などで出場不可能となると、ひとりの「キッカー」が両方の「キック」をしなければならなくなり、とたんにどちらの場合でも専門外の「キック」の成功率が下がってしまいます。実際NFLでは「プレースキッカー」が負傷退場し「フィールドゴール」を「パンター」が蹴ったということもありました。その上さらに「パンター」までいなくなったら、あるいはもともと一人の選手がキックを担当していたら、当然だれかキックのましな選手が代わりをつとめなければなりません。そういうこともNFLではありました。

「キッキング・プレー」は主に「キックオフ」と「フィールドゴール」「パント」そして「トライ・フォー・ポイント」がありますが、「キックオフ」以外のプレーでは「キッカー」以外に専門のプレーヤーがプレーに参加します。
一人は「ロング・スナッパー」という選手です。
攻撃プレーは「センター」がボールを「スナップ」することで始まりますが、「フィールドゴール」の場合には、「キッカー」がスクリメージラインから、あらかじめ7ヤード、「パント」は「パンター」がその倍の距離、下がった場所に位置します。これは「キック」を守備チームに邪魔されないように、あらかじめ距離を置く必要があるからです。「フィールドゴール」は普通「サードダウン」の後の「フォースダウン」のプレーです(実際にはいつ蹴ってもかまいません。途中でやめた場合は通常の「ダウン」となります)。失敗すればその場で「フォースダウン」終了になってしまいますし、万が一「インバウンズ」で守備選手がボールを取れば「ターンオーバー」となってしまいます。「パント」も「サードダウン」後のプレーで、攻撃権は放棄しているためボールを蹴ってしまえば「フォースダウン」とはなりませんが(つまり逆に言えば蹴らなければ「パント」にならず、「フォースダウン」扱いになるわけです)、どちらも守備チームと向かい合った状態でプレーすることになり、ボールが「スナップ」されれば守備選手は「キック」成功を阻止しようと蹴られたボールを叩き落すため、スクリメージランを越えてボールに向かって殺到します。攻撃チームはこれを「ブロック」でとめますが、時には守備選手が「ブロック」を突破して蹴られたボールを叩き落すことがあるのです。
スクリメージラインの後方7ヤードで「キック」するために、「スナッパー」はボールを7ヤードの距離「スナップ」しなければなりません。これが意外と難しく、そのため「オフェンスライン」の「センター」とは別に、「ロング・スナッパー」という「キッキングプレー」専門の「スナッパー」を用意するのです。

「パント」の場合、さらに長い距離「スナップ」されたボールは「パンター」が直接受け取り、「ドロップキック」による「パント」を行いますが、「フィールドゴール」は成功率を上げるため静止したボールを蹴らなければなりません。(実は「ドロップキック」でも狙えるとルールブックにあるそうですが、NFL関係者はもちろん現在地球上に生存するほとんど誰も「ドロップキック」による「フィールドゴール」を見たことはないそうです)そのため「キッカー」とは別に「ロング・スナップ」されたボールを「キッカー」のために保持する「ホルダー」という選手が必要になります。
つまり「フィールドゴール」の場合、「ロング・スナッパー」が7ヤード後方に「スナップ」し、「ホルダー」がボールを支え、「キッカー」がボールを蹴る、というプレーが行われます。
「フィールドゴール」は試合を左右する重要なプレーなので、この3つのポジションには「キッキング・ユニット」として専門の選手をそろえるチームがほとんどですが、「ホルダー」は他のポジションの選手がかねることもままあります。「クウォーターバック」が「ホルダー」役を務めることもあるんですよ。それがある映画のネタ(「エース・ベンチュラ」ですが)になったこともありました。

「キッキング」には4つのプレーがあると前に書きましたが、「キックオフ」「フィールドゴール」「パント」の他に「トライ・フォー・ポイント」の時の「キック」があります。

攻撃チームが「タッチダウン」を奪って得点すると。ボーナス・プレーとして、「トライ・フォー・ポイント」を行います。
これに成功すれば「タッチダウン」の得点の上にさらに得点を加えることができます。「タッチダウン」の後のボーナスポイントを「ポイント・アフター・タッチダウン」といいます。
「トライ・フォー・ポイント」はエンドゾーン前2ヤードの位置にボールを置き、そのスクリメージランから再びエンドゾーンにボールを持ち込むプレーと、同じく2ヤードの距離から「フィールドゴール」と同様に「キック」でゴールポストの間にボールを蹴りこむプレーの2種類があります。
通常は「キック」で望みます。このときには1点加算されます。
エンドゾーンにボールを持ち込めば2点が加算されるので、このプレーを「2(ツー)ポイント・コンバージョン」と呼びます。
試合の進行具合によっては、時に、どうしても2点獲得しなければならなくなる場合があるわけです。
「キック」で1点を狙う場合は単に「トライ・フォー・ポイント」と呼ばれます。
この場合の「キック」は「フィールドゴール」と同じキッキングチームでおこなわれます。成功すれば得点。どんな形で失敗しても、単にボーナス点がはいらなかっただけ、という結果になります。「2ポイントコンバージョン」も同様で、どのようなかたちで失敗しても単に無得点となるだけです。たとえば「パス」が「インターセプト」されそのまま守備選手が走ってキッキングチーム側のエンドゾーンまでボールを持ち込んでも「お疲れ様」というだけになるわけです。時々ターンオーバーと勘違いして真ん中ぐらいまで走って(リターンのつもり)から、気がついてストップする選手がいます。まあ、それだけ普段の守備プレーが体にしみこんでいるということでもあると、いえばいえなくもなくなくない・・・。プロなのに・・・。

「キックオフ」の時の「キッキング」ではボールはあらかじめ静止状態でフィールド上に置かれているため「スナッパー」も「ホルダー」も必要ありません。

「キッキングチーム」のほかのメンバーは攻撃守備の選手から選ばれて、編成されます。
「キックオフ」の場合、相手チームは「リターン」を行う「リターンチーム」を投入してきます。そのため、キッキングチームには「リターン」阻止のために「リターナー」に確実に「タックル」する能力が求められます。
「リターンチーム」は専門の「リターナー」を用意する場合もありますが、その選手も実際は「ランニングバック」や「ワイドレシーバー」の交代要員としてそのポジションで登録されている選手です。他の選手はキッキングチーム同様に攻撃守備要員から選ばれて参加します。「リターナー」を助けるために「ブロック」するのが彼らの役目です。
「パント」と「フィールドゴール」の場合、攻撃チームは「スナップ」後に「フォースダウン」の通常攻撃に切り替えるというトリックプレーを仕掛けてくることがあるため、守備選手がそのままプレーすることになります。「パント」では「リターナー」のみが「セイフティ」などの「ディフェンスバック」と入れ替わったり「セイフティ」がそのまま「リターナー」を勤めたりします。