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日記一覧 (2012年10月7日)

3件中 1件〜3件を表示

10月07日
08:19

ハロウィンといえば、「trick or treat」の言葉をかけて集めて回るお菓子。
英語で candy というと、日本語でいう飴だけでなく、ああいう小分けされたお菓子全般をキャンディという、というところまでが、前のエントリ。

欧米のアルファベット圏言語ではよく人の名前をより呼びやすい愛称で呼ぶ習慣があります。本来の名前とは無関係の人となりからつけたあだ名で呼ぶ場合や、頭文字で呼ぶなど他のパターンももちろんありますが、多くが正式な名前を音節で区切って呼びやすくしたもので呼ぶということで、愛称というか略称といったほうがより近い感じですね。
これがどれだけよくあることかというと、短い名前の人はそれが本名でも、ひとから、「君の名前は何の略なのか?」と聞かれることがあるくらい、短い名前は本名を略した愛称だ、というのが常識になっているわけです。
日本でも「助三郎」を「助さん」、「格之進」を「格さん」、「幸子」を「さっちゃん」というのと同じ。この「~ちゃん」にあたる音もちゃんとあります。

で、candy。人の名前は頭文字が大文字になるので、ただのお菓子か人の名前かはそれで判別。Candy、になったら人の名前。
その Candy は、普通 Candace の愛称。
Candaceは文字列だけ見るとキャンデイスあるいはキャンダスと読みたくなってしまうような人はなんでもローマ字読みタイプ。英語での発音はキャンディス。
実際には cand キャンド(末尾が子音のdだけなのでドには母音のオはつかない)+aceエイス(日本語ではエースですね。あのエース)で、d に a (エイ)のエの母音がくっついてデイの音になるけど強調される母音が頭のキャン(エと発音するつもりで口を開いてアという母音)の方にあるので、2番目のこの母音エイは小さく発音され、d+エの音に吸収されてエイの音の変化ががほとんど聞こえなくなって母音の単音としてはイが残り、結果キャンディスになるという仕組み。この辺全部の母音がほぼ同価値で発音される日本語とはちょっと仕組みが違います。特にエイのような二重母音は日本語にはありませんからね。二重母音(日本語の場合は二つの母音が連続するということ)になると日本語では普通エーのよう前の母音を伸ばして発音を楽にするという仕組みが働きます。
この cand + ace のように、母音を1つか多くても2つ含む音の一塊を音節、といい、キャンディスの場合は2音節の単語ということになります。要するに音で区切りやすいパーツということ。

欧州語のなかでも、長い歴史の間に、ケルト系、アングロ・サクソン(ゲルマン)系、ラテン系、ノルマン系、フランス・ノルマン系などが混ざりあって出来上がった英語の特徴は単語を見ただけでは発音がはっきりわからないというおかしな言語であること。ほとんどの大陸系欧州語は文字列と音がほぼ一致していて、読み方を覚えればはじめて見る単語でもほぼ正確に音がわかります。もちろんたまに例外もありなのは世界共通。
とはいえ、まったく不明では文字に書き表す意味がないので、それなりに予測は立てられます。それが良く見る文字列や音節ごとに区切って一般的な単語でどう発音しているかを当てはめて類推する方法。上の cand+ace もそういう考え方で音を推理できますでしょ。これ実は日本語の漢字の読みの類推方法と同様であるのが面白いですね。英語単語は日本の漢字のように表音というより表意に近いものだということがいえそうですね。

英語の場合、名前(本名)と略称型の愛称の関係はおおむね次のパターン
1:本名そのまま型
2:本名の純粋な省略型
3:省略 + y または ie (音は同じ)型
4:純粋に省略したら発音しづらいので呼びやすいように音が変化した型
5:音が変化したのもの + y または ie 型
6:現在音からだけでは類推不可能だが習慣的にそう呼び慣わされている型
5型に関しては -y -ie をつけたらいいにくくなったので音が変化した、という場合もある。

ちなみにこのパターンを網羅しているのが、あの愛称の女王エリザベスElizabeth。(文字列ではなく音の変化がポイントですよ)
1は、そのままエリザベスElizabeth
2は、エリEli、 リズLiz、ベスBeth
3は、エリーEllie Elly、リジーLizzy、
4は、イライザEliza、リサLisa、
5は、ベティBetty、ベッシーBessy、ベッツィーBezzy、
6は、ベラBella、ベルBelle、バッフィBuffie シシーSissy
これ以外にも多数。
さすが世界でもっとも有名な女王の中の一人の名前ですね。

ついでにイザベラIsabella も元はエリザベスで、そのスペイン語形。
そのイザベラも略称で、イジーIzzy、ベラBellaなどがあり、エリザベスの愛称としてのベラは、一度スペイン語化したイザベラの愛称が逆輸入されてエリザベスの愛称にもなったというふうに考えれば納得。エリザベスとまったく音がかぶらない(エリザベスのスはthだから)シシーは、19世紀のオーストリア・ハンガリー帝国の悲劇の皇女エリザベート(こちらはエリザベスのドイツ・オーストリア語化)の個人的愛称で、後の人たちがそれをそのまま用いたもの。現在オーストリアではエリザベートの愛称として普通に使われているらしいよ。しかしもともとなぜシシーとよばれるようになったのかは諸説あるみたいで略称であるLisiの表記を誤読したのがはじまりというのが有力なのかな。

本名がもともと短い場合、そのまま -y -ie をつけてしまう場合もありだけど、これは省略ではないので上のパターンからははずしました。

さて、そこでキャンディス。
英語では語尾に-y または -ie(発音は同じイー)をつけると、ちょっと子供言葉というか、やさしいイメージになって親しみやすい音になるという仕組みがあって、呼びかけの言葉にはよく語尾が-y -ieのものが使われます。
Candace で言えば、後ろを省略して最初の音 Cand + y でキャンディ、と発音。

だからキャンディスの愛称であるキャンディはお菓子のキャンディとは関係なしで、たまたま同じ音になっただけ。

本当に?

キャンディスはラテン語由来の名前で、「美しい白」という意味。

一方、お菓子のキャンディは、古代ギリシアの時代からあった甘味菓子が大元。当時サッカリンで甘味をつけていたこの菓子を、今から1000年くらい前イスラム帝国が北アフリカ地中海沿岸地域を制覇していたころに、アラブ人がクレタ島で、サッカリンの代わりに砂糖を用いて作り、その産地クレタ (Crete) がなまって クァンディ ( quandi ) となり、それがさらになまってキャンディと呼ばれるようになったんだそうな。その quandi は「結晶化した砂糖」という意味。

となると、一見無関係だけど、もしこのキャンディス「美しい白」が砂糖の白さも意味しているとなると実は関係あるのかも。元のラテン語がいつごろ、どの白をイメージして作られた言葉なのかがわかれば、キャンディとキャンディスがその意味自体も関係しているかどうかがわかるかも知れません。
どうかな、ラテン語だから1000年より前からありそうだし、地中海沿岸の白い砂や岩をイメージして出来た言葉なんじゃないかな。

ところで、好意をもった相手に対しての名前以外の呼びかけの言葉となると、キャンディのように甘い意味を持つ単語を使うのが英語流。
その代表格はなんといっても「ハニー(蜂蜜)honey」 で、語尾がちゃんと -y になってるし。
他にも sweet や、sweet に -y をつけた sweety 。 suger や、muffin など、聞いてるだけで甘ったるくなってしまいますが、恋人同士の呼びかけだけでなく、sweety は親から子へのよびかけでも良く使われます。
やっぱり甘いものはみんな大好き、ってことだな。

日本語では「彼女に甘い言葉をかけてやれよ」といわれて「砂糖」というとただのギャグですが、英語ではアリな表現なんですね。

キャンディで思い出したことあれこれでした。




おまけ、省略型愛称のパターン例。

1:ジョンjohn、アンanne(またはann)
2:トムtom(トーマス thomas)、キムkim(キンバリーkimberley)
  ウィルwill(ウィリアムwilliam)
3:トミーtommy(tom+y) キミーkimmy(kim+y)
  ウイリーwilly(will+y)
4:ビルbill(ウィリアムwilliam)、ボブbob(ロバートrobert)
5:ビリーbilly(bill+y)ボビーbobby(bob+y)
6:トリクシーtrixie(ベアトリスbeatrice、 もとはベアトリクスbeatrixの愛称で、ベアトリクスの変形であるベアトリスの愛称としてそのまま用いられている。ベアトリクスの愛称としてはパターン3trix+ie)
本名+y ジョニーjohnny( john+y ジョンはヨハネJohaneの英語化名で、伝統的にこれだけで本名の人も多いが、ジョナサンJohnathan など、この音を含む名前の省略形の場合もある)、アニーanny(ann+y アンはこれで本名の人も多いが、アナスタシア、アナベル、など、この音を含む名前の略称の場合もある)

10月07日
04:09

10月といえばハロウィーン。
今では日本の商店街でもすっかり定着気味。
各家庭にお菓子をもらって歩く習慣はいまいちですが、その代わりに村人(街人でも可、というより村ではハロウィンはまだまだだろうなあ)というか町内会こぞりて仮装パレード祭りなコトになってますね。

てなわけで、カートゥーンの10月といえばハロウィーン・ネタ。アメリカではTVドラマもハロウィーン・ネタを用意していて、普段真面目なストーリーのドラマでもちょっとばかりホラーでコメディ要素をふりかけたエピソードを放送するのがもはや慣わし。

第12話はハロウィン。もともと「グラビティー・フォールズ」自体のネタがスーパーナチュラル・ホラーなので、このお話だけ特別ホラーというわけでもない。
グラビティー・フォールズの町のハロウィンは、「サマーウィン」。
町中ハロウィンが好きすぎて年に2回やるのだ、とはスタンの弁。
スタンの「いつも持ち歩いている」カレンダーによると、このエピソードの時点で6月下旬であることが判明。
何しろ夏休みの間のおはなしですからね。
登場人物からして、夏なのにハロウィンとはこれいかにと疑問を呈するありさま。
とはいえ、グラビティー・フォールズの町に伝わる(とスースが言っているだけかもしれないが)、サマーウィンの怪物に500個のキャンディと引き換えに命を狙われるディッパーとメイベル。たまたまいあわせたキャンディとグレンダ、事情を察して加勢することになったスースと共に、町にともされたサマーウィンのスイカ(夏だから、かぼちゃじゃない)ランタンの最後の灯が消えるまでに500個のキャンディを集め、サマーウィンの怪物の魔の手から逃れられるのか。

ネタはむちゃくちゃだけどわりとまとも?なホラー話になっていて素敵。
キャンディのキャンディ(飴)の仮装とか、グレンダの魔女(オズの魔法使いの北の魔女の名前がグレンダ。仮装は西の魔女っぽいけど)の仮装とか、小ネタもいっぱい。それにしてもキャンディの仮装が可愛すぎだ。白いニョロゾ(ポケモンの)みたい。

ところで、英語で candy というと日本でいう「飴」だけでなく、ああいう小分けされたお菓子、飴やチョコレートなど全般をさしての意味。

で、思い出したことが。お話の内容がが全然違うので、エントリを変えて書こうっと。

10月07日
02:34

無事はじまりました「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」
日本語版もなかなかいいかんじですね。
ディッパーとメイベルの声はオリジナル版でも、子供な見かけに大人な声で、はじめはこれでいいんだろうかと思わせておいて、第1話を見終わるころにはもうこの声でないとダメ状態になってしまうあたりに、この作品の質の高さ、演出の面白さ、演技の確かさを感じました。特にメイベルはすごい。あちらのコメディアン(女性なのでコメディエンヌか)の演技力は本当にすごい。メイベルというキャラクターを声でつくりあげてしまったようなもの。

ディッパーの声はかなり原語版っぽくていい。
メイベルは原語版の声はもっとハスキー。日本語はつやのある声ですが、微妙に差のあるおばかっぷりはいい勝負。次第にキャラクターに慣れていくとますますよくなっていくことでありましょう。第2話のばか台詞連発の演技がいまから楽しみ。
現時点での難点があるとすれば、両者共にまだ演技に「思いきり」が足りませんね。その辺は慣れてくればきっと大丈夫。演技が確かなものになっていくのを見るのも楽しみの一つですからね。

スタンじいさんの声は時々本当にそっくりなのでびっくり。
スースはもうちょっとまじめな感じでもいいかな。
実はこの2人、原語では同じ人(この作品のクリエイター)が演技している。「フィニアスとファーブ」のドゥーフェンシュマーツといい「レギュラー・ショウ」のモーディカイといい、みんな芸達者だなあ。ってゆーか、クリエイターが自分でこの役をやりたくてキャラクターを描いているとしか思えない。
ウェンディも原語版の雰囲気そのままで、ちゃんと台詞のあるエピソードが楽しみ。

スタン爺さんの店、ミステリー・シャックは、ミステリー・ハウスになってしまいましたね。やはりシャックという言葉が一般的でないからかな。屋根には巨大な看板がかかっているので、シャックでもいいと思うんだけどな。ちなみに「シャック」とは「掘っ立て小屋」のこと。いまでは掘っ立て小屋という日本語もあんまり一般的じゃないですかね。

という例もあり、翻訳はやはりどのあたりにあわせて言葉を選ぶかというのがポイントですね。特にメイベルのおばか台詞などはそのままにしたい(というかそのまま、つまり直訳でもいいんじゃね?と思うんだ)けどやっぱりアレンジしてしまうみたいな感じで、悩ましい。

でも「仲直りのハグ」の「ありがとう」は名訳かも。
原語は
「apuired sibling hug?」(いつもの兄妹・姉弟のハグする?みたいな感じ)
「aquired sibling hug」
「pat, pat」
なので、雰囲気は「よし、よし」なり、「いいこ、いいこ」といった感じだけど、この訳はとてもいいな。

英語的には aquired (獲得した、という意味がある)から、2人の間でしょちゅう喧嘩というか意見の合わないコトがおおくて、それでもそのたびにハグで仲直りしているということが読み取れる。「ありがとう(原語では上記の通りpat pat)」といって背中を叩き合っている場面でも、表情が微妙に不自然なのも、しょっちゅうやっててまたこれやってるとか、どうせまたやる、とか、多少こっ恥ずかしいとか、そんな雰囲気が漂っててなかなかいい感じ。こういうこまかい演出がこの作品の面白さのひとつだな。

今月末の2話連続放送からレギュラー放送スタート。でもアメリカでも新エピソードはほぼ隔週で現在11話までしか放送されていないので、毎週やってたらすぐ追いつきそう。途中までやって、新作がたまるまでリピートとか変則スケジュールになるかもしれませんね。

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