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日記一覧 (2012年6月30日)

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06月30日
04:52

うそです。

21世紀の次の10年を迎えて、ディズニーチャンネルの新作アニメがついに登場。現在絶好調だが、そろそろ終わりも見えてきた「フィニアスとファーブ」、そこそこ面白いが、ブレイクというほどでもない「スイチュー!フレンズ」の次の作品ということで、注目されること必至であったわけですが、その出来はいかに。

「Gravity Falls」
DipperとMabelの双子(兄妹か姉弟かはわからない)は、夏休みの間森林に囲まれた、のどかな観光地グラビティー・フォールズで観光客相手にみやげ物店を営むスタン大叔父さんのもとですごすことに。ところが、普通の観光客は気がつかないが、このド田舎の町グラビティー・フォールズにはとんでもない秘密が。偶然にもグラビティー・フォールズにまつわる謎を記したノートを手に入れたDipperとMabelは、グラビティー・フォールズの怪しい秘密の渦に喜んで飛び込んでいくのであった。

このディッパーとメイベル。50年前だったら明らかにキャラクターが逆であっただろうという設定。
好奇心旺盛だが本の虫、冒険はしたいが慎重派のディッパーと、とにかく楽しいのが好きでなんにでも首をつっこみたがる歯止めのきかないとんちんかんなメイベル。メイベルはペッパー・アンに始まるディズニーチャンネル・オリジナルアニメーションシリーズのヒロインの正統な継承者ですね。
スタン叔父さんもあやしさ大爆発。どういうわけかフェズ(トルコ帽)を愛用する怪しい爺さんは、普段は店の観光客相手にあることないこと講釈する商売人だが、その実は・・・。

キャラクターの魅力は言うことないんですが、問題はですね、お話のネタです。オカルトネタ満載。小人や妖精さん、伝説の生き物だけでなく、カバラや、オカルト・シンボルネタに科学も混ぜ込んで、そう子供向け「Xファイル」「スーパーナチュラル」になってるんですよ。ファンタジーコメディのふりして、ネタがマニアすぎだ。でもマニア偏りに陥ることなく、子供向けアクション・コメディとして作られているところがおみごと。

本編は22分(通常のアメリカ・アニメと同じ)のくせにストーリーがめっちゃ濃い。この辺、ストーリー展開よりも毎回重層したエピソードがモザイクのように絡み合うことの面白さという、シリーズ作品としては非常に珍しいタイプの「フィニアスとファーブ」とはまったく違うもの。オーソドックスなストーリー構成に、22分じゃ無理じゃない?って位のエピソードを詰め込んでいながら詰め込み感がないという、練りこみの度合いがすごい。正直第1話はスペシャルで長めに作ってあるのかと思ったくらいで、第1話としてはお見事な出来。キャラクター、世界観、どういう物語なのか、これからどこへ行こうとしているのかをちゃんと描ききっている。

絵もすごい。主人公は3頭身のいわゆる子供キャラであり、他の登場人物もそれにそった子供マンガのデザインラインで、これまたオーソドックスな手描きの2Dのアニメーションだが、動きの密度が劇場用アニメに近い。2Dのキャラクターに、背景には水彩手描き風のテクスチャーを、キャラクターと共に動くガジェットには実線と面塗りのいわゆる「アニメ塗り」なテクスチャーを張り込んでいる3DCGを組み合わせ、とまっていればすべて絵の具で手描きされた背景にセル画のキャラが乗っている一枚の絵になるくらいに違和感がないのはいまや常識。動いていてもまったく違和感がないレベルに到達しそうだ。これはすごいですよ。アニメーターおみごと。だんだんどこが手描きでどこまでが3DCGなのかわからなくなってきているのは実写と同様。
第2話は湖の怪物ネタでしたが、どたばたアクションコメディでありながら流体表現が非常に優れている「キック・ザ・びっくりボーイ」とはまた一味違った流体表現が出来ている。つーかこの水面表現はTVアニメの出来じゃない。まじ劇場用でもいいくらい。
ほぼフルアニメーションに近い動きだが、キャラクターは一昔前のアメリカ・カートゥーンのように大げさにしゃべると顔(頭)がふにゃふにゃと上下左右に伸び縮みするようなことはもはやない。そういう点では日本のアニメーションにとても近い。が、もちろん動きの密度や、クリエイティビティは現在の日本のそれとは段違い。昔の東映動画劇場用作品の出来栄えがそのままTVアニメーションに移行していたらこのようだったかもしれないと思わされてしまう。指もちゃんと5本あるよ。

声優の演技もいい。アメリカのアニメは大人が演技するときも子供のキャラだからと無理に子供声を作ったりせず(もちろんする場合もある)、役者のいつもの演技をそのまま生かす作品が多いが、これもそう。それだけにメイベルの変なキャラクター演技はお見事。本当に普通にそこいらにいそうな女の子って感じでしゃべるのだがしゃべる内容は普通じゃない。

とにかく、前にも何度か書きましたが、20世紀末から爆発的に進化を始めたアメリカ・アニメ。21世紀の第2の10年期に入っても、アメリカ・アニメはまだまだ進化を続けているのだなと、あきれ返ってしまいます。つーか幸せだ。どんどん新しい表現を実現していく様を観ることができるなんて、いい時代だなあ。

忘れてた。主題曲(インストルメンタル)がまたいいんだわ。どことなくXファイル・トリビュートなメロディとアレンジで、怪しい雰囲気満点。サウンド・トラックも凝ってますね。

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