数学の解説をしている途中、突然K子が言い出す。
「悔しいなぁ・・・。
もうっ!
・・・なんで?
ねぇ、なんでそんなに出来るのよぉ・・・。」
案外コイツ、負けず嫌いな性格してるな・・・。
それに教えていて分かる、理解も早く頭も悪くない。
コツを掴めば出来るヤツだ・・・。
「最初から出来るヤツなんて居ないぞ?」
「そうかなぁ?」
「本当だよ、だから心配するなって。」
「そ~ぉ?」
希望を持ったのか、K子は顔を少し明るくする。
「この問題、もう少しだから頑張ろ?」
「うん!」
おや?意外と素直だ・・・。
しまった!コイツ可愛いとか思ってしまう・・・。
いかんいかん、平常心平常心!!
なるべく簡単、かつ簡潔に説明していく。
そして、説明が終わると同時に彼女は喜び叫ぶ・・・。
「凄い凄い!分かり易かった!」
「そりゃどうも・・・。
しかし大袈裟だよ・・・その反応・・・。」
「そんな事無い、先生より教え方上手いもの!」
おいおい、褒め殺しですか?
俺、喜んじゃうじゃないですか・・・。
ついつい調子に乗っちゃいますよ・・・。
「数学の公式は、パズルで言えばピースみたいなもの。
そのピースを組み合わせて一つの答えを導き出す。
いうなれば、一枚の絵にするみたいな感じかなぁ?」
「ふ~ん。」
真顔でK子は聞いて頷いている。
「つまり・・・。
数学は・・・・芸術です。」
「きっとそうね。」
真面目とも冗談ともつかぬ俺の言葉に、彼女は大笑いした。