何やら階段の方が騒がしい。
するとU子が教室に飛び込んできた。
「K子が階段から落っこちて怪我しちゃった!
誰か、保健室に運ぶの手伝って?」
「えっ!?」
まさかK子が、そんな大怪我したのか?
思いがけず、俺は動揺した。
どうしてこんなに動揺するのか、自分でもわからなかった。
なぜか、いてもたってもいられない・・・。
自分が自分でコントロール出来ないのだ。
ともかくU子の先導で、俺にYそしてEもK子の元へ急いだ。
階段の下でK子がうずくまっている。
C子がK子の傍で見守ってくれていた。
「大丈夫か・・・?
一体どうしたの?」
「ちょっと、階段で滑っちゃって・・・。
あいたたたた・・・。」
「立てそうか?」
「今は無理そう・・・。
でも、時間経てば・・・なんとか・・・。」
「ちょっと足見るぞ?」
K子は、うずくまりながらもすかさずスカートを抑える。
見るのは足首周辺だから関係ないのだが、本人は気にしているらしい。
見たところ、膝やら脛などあちこちに擦り傷がある。
足首を押してみる。
骨折は無いようだが、これから腫れてきそうだ・・・。
立てるまでの時間の経過など、待ってはいられない。
すぐさま俺は、K子を抱きかかえることにした。
えっ!?
何ってキャシャなんだろうか・・・。
力を入れたら壊れそうだ・・・。
これが女の子?
でも、力を入れなければ持ち上げられない。
時間的な余裕は無い。
構わず力を入れて持ち上げた。
「きゃっ!」
「よし、このまま保健室まで行くぞ?」
「嫌だ、嫌だ、嫌だ~っ!」
突然、K子が暴れだす。
暴れだすとズッシリ重みが増してくる。
さっきまであんなに軽かったのに・・・。
「うるさい。
大人しくしないと、このまま落とすぞ?」
「それも嫌だぁ~。」
「じゃ、黙ってろ。」
「ねぇ?
周りでみんなが見てるのよ?」
K子は、顔を赤らめて恥ずかしがった。
「知るか、そんな事!
俺はお前が大事なんだっ!
悪いか!?」
K子はビックリした表情で俺の顔を見た。
そして、にこやかな表情で言葉を発する。
「もうっ!
あなたって、強引な人なのね?」
「おや、知らなかったか?」
「うん、知らなかったわ。」
「じゃあ、覚えとけよ・・・。」
「そうね、覚えとくわ・・・。」
俺はK子を抱きかかえたまま
U子やC子、YとE達に先導されながら保健室に向かった。
どうやら俺も、恋のミイラになったようだ・・・。
認めてやるさ、俺はK子を愛している。