英語の説明を一通りした後、突然K子が顔を近づけてくる。
「ねぇ、あなたってモテるでしょ・・・。」
「えっ!?まさか・・・。
そんなバカなこと、ある訳が無いだろ?
あまり人を驚かせるなよ。」
「だってあなた、去年役員席で全校生徒の前にいつも居たじゃない?」
「うん、居たけど・・・。」
ああっ、ひな壇の事か・・・。
副会長不在では形が揃わないので、仕方なく居ただけであった。
本音を言わせてもらえば、『さらし者』みたいで嫌だったのだ。
「その時、女子の間で噂になってたのよ?
カッコイイって・・・。
もしかして、知らなかったの・・・?」
本当かよ?
それでラブレターなんてのが来てたのかぁ・・・。
あっ、この事は内緒にしなくちゃ。
「そんなことになってたなんて、ぜんぜん知らなかった・・・。
いま、初めて聞いたよ・・・お前から・・・。
大体、カッコイイ奴なんか他にも居るだろ?」
「あなた、本当に鈍いわね~。
勉強できるうえに生徒会の中心人物なのよ?
憧れない女の子なんて居ると思うの?」
「いや、まったく気付かなかった・・・。」
しかしそれは、鈍い以前の問題だろ!?
余裕が出来て、初めて気付くもんじゃないのか?
実際、校則作成やら何やらで、気付いてる余裕なんて全く無かった。
「女子の間で素敵な人だって、凄かったんだからね?」
「そんなの知るかよ~。
俺は一人だけで十分だからな?
で、お前はどうだったのよ・・・?」
「私は、チョットは素敵だな・・・とは思ったけど・・・、
やっぱり気に食わなかった・・・。」
それでこそ、俺の気に入った女だ。
他のミーハーな女達とは違う。
しかし、『気に食わなかった』にはガックリ来たな・・・。
ちょいと意地悪な質問でもしてやろうか?
「それで今は?」
「もうっ、意地悪ねっ!
・・・とっても素敵だと・・・思ってるわよ。」
「ありがとね。」
と、K子に笑顔で答えてやる。
K子はモジモジして戸惑っている様子だった。
可愛いなぁ~。
抱きしめてやりたいくらいだよ。
「でも、一つだけ覚えておいてね?」
「何を・・・?」
「私、さそり座の女だから・・・。
裏切ったり浮気したら、酷いんだから。
覚悟しておいてね?」
「げっ!マジかよ・・・。」
K子は俺を睨みつけた。
浮気はしないよ、間違いなく・・・。