無事はじまりました「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」
日本語版もなかなかいいかんじですね。
ディッパーとメイベルの声はオリジナル版でも、子供な見かけに大人な声で、はじめはこれでいいんだろうかと思わせておいて、第1話を見終わるころにはもうこの声でないとダメ状態になってしまうあたりに、この作品の質の高さ、演出の面白さ、演技の確かさを感じました。特にメイベルはすごい。あちらのコメディアン(女性なのでコメディエンヌか)の演技力は本当にすごい。メイベルというキャラクターを声でつくりあげてしまったようなもの。
ディッパーの声はかなり原語版っぽくていい。
メイベルは原語版の声はもっとハスキー。日本語はつやのある声ですが、微妙に差のあるおばかっぷりはいい勝負。次第にキャラクターに慣れていくとますますよくなっていくことでありましょう。第2話のばか台詞連発の演技がいまから楽しみ。
現時点での難点があるとすれば、両者共にまだ演技に「思いきり」が足りませんね。その辺は慣れてくればきっと大丈夫。演技が確かなものになっていくのを見るのも楽しみの一つですからね。
スタンじいさんの声は時々本当にそっくりなのでびっくり。
スースはもうちょっとまじめな感じでもいいかな。
実はこの2人、原語では同じ人(この作品のクリエイター)が演技している。「フィニアスとファーブ」のドゥーフェンシュマーツといい「レギュラー・ショウ」のモーディカイといい、みんな芸達者だなあ。ってゆーか、クリエイターが自分でこの役をやりたくてキャラクターを描いているとしか思えない。
ウェンディも原語版の雰囲気そのままで、ちゃんと台詞のあるエピソードが楽しみ。
スタン爺さんの店、ミステリー・シャックは、ミステリー・ハウスになってしまいましたね。やはりシャックという言葉が一般的でないからかな。屋根には巨大な看板がかかっているので、シャックでもいいと思うんだけどな。ちなみに「シャック」とは「掘っ立て小屋」のこと。いまでは掘っ立て小屋という日本語もあんまり一般的じゃないですかね。
という例もあり、翻訳はやはりどのあたりにあわせて言葉を選ぶかというのがポイントですね。特にメイベルのおばか台詞などはそのままにしたい(というかそのまま、つまり直訳でもいいんじゃね?と思うんだ)けどやっぱりアレンジしてしまうみたいな感じで、悩ましい。
でも「仲直りのハグ」の「ありがとう」は名訳かも。
原語は
「apuired sibling hug?」(いつもの兄妹・姉弟のハグする?みたいな感じ)
「aquired sibling hug」
「pat, pat」
なので、雰囲気は「よし、よし」なり、「いいこ、いいこ」といった感じだけど、この訳はとてもいいな。
英語的には aquired (獲得した、という意味がある)から、2人の間でしょちゅう喧嘩というか意見の合わないコトがおおくて、それでもそのたびにハグで仲直りしているということが読み取れる。「ありがとう(原語では上記の通りpat pat)」といって背中を叩き合っている場面でも、表情が微妙に不自然なのも、しょっちゅうやっててまたこれやってるとか、どうせまたやる、とか、多少こっ恥ずかしいとか、そんな雰囲気が漂っててなかなかいい感じ。こういうこまかい演出がこの作品の面白さのひとつだな。
今月末の2話連続放送からレギュラー放送スタート。でもアメリカでも新エピソードはほぼ隔週で現在11話までしか放送されていないので、毎週やってたらすぐ追いつきそう。途中までやって、新作がたまるまでリピートとか変則スケジュールになるかもしれませんね。