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2012年01月17日 15:58

アメフトルールこれ簡 その2

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Good!
アメリカンフットボールの試合では、攻撃側、守備側それぞれ11人の選手が、相撲の取り組みのようにボールをはさんで向かい合っている場面がよく出てきます。アメフトといってまずイメージする代表格といってもいい絵ですね。

アメフトではボールが置かれた地点から、攻撃側が攻撃権の更新を狙って「ファーストダウン・10」のボールの位置から10ヤード以上の前進を試みる、というのがもっとも基本のプレーだというのは、前のエントリで書きました。

このボールの置かれた地点に、便宜上フィールドを攻撃側と守備側に分ける境界線を引き、攻撃側は守備側のフィールドにむかって前進していきます。
このボールのある場所に引かれたバーチャルな境界線のことを「スクリメージライン」と呼びます。
攻撃チームと守備チームはこの「スクリメージライン」をはさんで向かい合っているわけです。
プレーが始まるまで、攻撃守備のどちらも相手側に進入してはいけません。だからお互いが向かいあってプレーすることになるわけです。
ついでに言うと、攻撃側のチームから見て、スクリメージラインの守備チーム側を「ダウンフィールド」といい、攻撃チーム側を「バックフィールド」といいます。
攻撃チームはボールを「ダウンフィールド」に向かって進める、別の言い方をすれば「スクリメージライン」を進めていき、最終的に敵側エンドゾーンへボールを運び込むことで得点するわけです。

では攻撃チームはどうやって10ヤード以上の前進をするのでしょうか。
アメフトの攻撃側のプレーは多くありません。というかボールを進める方法は2つしありません。
ひとつは「ラン攻撃」
もうひとつが「パス攻撃」

「ラン攻撃」はクウォーター・バック(各選手のポジションと役目の解説はまた今度)という攻撃側チームのリーダーになる選手から、手渡しでボールを受けた選手、主にランニング・バックという役目の選手がそのままボールを運び(ボールキャリー)、スクリメージラインを突破して守備側のフィールドへボールを運ぶプレーです。ボールキャリーする選手、ボールキャリヤーがボールを持って前進するプレーを総じて「ラン」と呼びます。
守備チームはボールキャリヤーの「ラン」を防ぐため、ボールキャリヤーの体を体当たりして両腕でつかみ動きを止めようとします。ボールキャリヤーの体が地面につけば「ダウン」となり、そこでプレーは終了です。。守備側選手は時には体当たりだけで「ダウン」させることもあります。このボールキャリヤーの動きを止めようとするプレーを「タックル」といいます。
守備チームは、ボールキャリヤーに「タックル」して「ダウン」させようとするわけです。
次の攻撃は「ダウン」した時のボールの位置から始まることになります。
逆に攻撃チームはボールキャリヤーの前進を助けるため守備チームの「タックル」を邪魔します。このプレーを「ブロック」といいます。
つまり、ラン攻撃では、攻撃側はボールキャリヤーがボールを運びます。守備側は、ボールキャリアーがスクリメージランを越えて守備側のダウンフィールドに進入する「ラン」を「タックル」で防ぎ、できれば攻撃側のバックフィールドで「ダウン」させることを狙います。攻撃側は「ブロック」によって守備チームの「タックル」を防ぎ、ボールキャリヤーの前進を助けます。

「ダウン」は覚えてますよね。
つまり攻撃チームからみればスクリメージラインを越えてダウンフィールドにボールを運べば攻撃成功で前進、逆に守備チームに妨害されてバックフィールドで「ダウン」すると攻撃失敗で後退ということになります。
前進することを「ゲイン」
後退することを「ロス」と言います。
3ヤード前進すれば「3ヤードのゲイン」といい
3ヤード後退すれば「3ヤードのロス」というわけです。
つまり次の「ファーストダウン・10」獲得には4回のプレーで「10ヤードのゲイン」が必要ということですね。
ゲイン、ロスともにプレーごとに「ファストダウン・10」の時のボールの位置に加減算され行きます。
「ファーストダウン」で3ヤードゲインすれば、次の「セカンドダウン」は「ファーストダウン・10」獲得まで残り7ヤードとなり、この場合「セカンドダウン・7(セブン、数字は普通日本でも英語読みします、以下同様)」となるわけです。
逆に「ファーストダウン」で3ヤードロスすると、次の「セカンドダウン」は「ファーストダウン・10」獲得まで残り13ヤードとなり「セカンドダウン・13(数字が二桁になると日本ではどういうわけか日本語読みする場合があります、つまりこの場合じゅうさん)」になるわけです。

ボールは「ダウン」した位置に置かれて、そこに再びスクリメージラインが引かれ、攻撃チームは、新しいスクリメージラインを突破して守備側への前進を試みることになります。
ただし「ファーストダウン・10」更新のための基準は「ファーストダウン」で置かれていたボールの位置のままです。
前のエントリでは一度に書くと混乱しそうだからプレーがストップすることを「ダウン」といい、他の時は「ダウン」を単独で使わないと書きましたが、実は「次の攻撃」や、「新しい攻撃」などのときも「次のダウン」や「新らしいダウン」と言うことがあります。もちろんこれは「ファーストダウン・10」や「セカンドダウン」「サードダウン」などの意味でいうのですが、それらを省略してだた「ダウン」と言っているわけで、ルール上の意味での「ダウン」とはちょっと違います。ほかにも「ダウン」を使うことがあるんですが、混乱を招くので今はここまで。でもまたすぐ後で出てきます。
もちろんボールキャリヤーが守備側のプレーをかわしてエンドゾーンまでボールキャリーすれば「タッチダウン」になります。
「ラン攻撃」は選手がボールを持ったままプレーすることで確実な前進が期待できますが、守備側の妨害もしやすいため、長距離「ゲイン」することが難しいプレーでもあります。

攻撃側のもうひとつのプレーは「パス攻撃」です。
これはプレーが始まるとクウォーターバックがバックフィールド内でボールを持ち、同時にパスを受け取る選手、レシーバーがスクリメージラインを越えてダウンフィールドに侵入します。クウォーターバックはバックフィールド内から、ダウンフィールドにいるレシーバーに向けてスクリメージラインを越えてボールを投げます。ボールはパスする選手、パッサー(この場合クウォーターバック)の手から離れて空中を飛んでレシーバーへ向かいます(バックフィールドにいるレシーバーに投げる場合もあります)これが「パス」です。アメフトでは一度のプレーに一度だけバックフィールドから前へ向かってボールを投げることが許されています。これを「フォワードパス」といいます。スクリメージラインを越えてから前に投げてはいけません。ちなみに横、あるいは後ろへはどこからでも何度でもOKです。
レシーバーは「パス」されたボールをフィールド内で受け取りしっかりと保持します。これが「キャッチ」です。
「キャッチ」できなければ、「パス」失敗となり、そこでプレーはストップします。ボールを確保前に落としたり、フィールドの外で受け取ることは失敗になります。当然「ゲイン」なしです。次の攻撃は前のプレーと同じスクリメージラインからの開始となります。つまり「ロス」もありません。ただ「ダウン(ほらね、出てきました。ここでは攻撃権の意味)」だけがひとつなくなり、次の「ダウン(ファーストダウンならセカンドダウンに、セカンドダウンならサードダウン)」に進みます。
「キャッチ」できれば「パス」成功となりその時点でボールのある位置まで「ゲイン」したことになります。「キャッチ」に成功したレシーバーはそこからさらに「ラン」による前進が可能です。

守備側は「パス」を防ぐため、まずボールを持つパッサー、ほとんどの場合クウォーターバックめがけて殺到し、ボールを投げるプレーそのものを阻止しようとします。「パスラッシュ」あるいは「ブリッツ」と呼ばれるプレーです。ボールが投げられてしまえば今度はレシーバーの「キャッチ」を阻止しようとします。アメフトでは「ボールが空中にある間はボールは攻撃守備どちらのものでもない」というルールなので、空中にあるうちに守備選手がボールに触れて、レシーバーがボールを「キャッチ」することを防ぐことができます。さらに守備選手がレシーバーより先に「キャッチ」することもできます。これを「パス・インターセプト」といい、その時点から守備チームに攻撃権が移ってしまいます。プレーの間に攻撃権が移ることを「ターンオーバー」といい、その時点から守備側選手は攻撃に移りボールをキャリーして相手エンドゾーンを目指します。攻撃側は守備になり「タックル」でボールキャリーをとめなければなりません。
つまり、「パス攻撃」は、成功すればボールを投げることで長距離をゲインできる代わりに、場合によっては「インターセプト」による「ターンオーバー」の危険を常にはらんでいることになります。

「パス」が成功した場合これを「パス・コンプリート」といい、レシーバーはボールキャリヤーとなって「ラン」でさらに前進を図ります。これを「ラン・アフター・キャッチ」といい、レシーバーにとってはさらに「ゲイン」の距離を稼ぐ重要なプレーです。守備側は「ラン攻撃」の時同様「タックル」によってボールキャリヤーから「ダウン」を奪うことで攻撃プレーをとめようとます。「タックル」はレシーバーがボールに触れた瞬間から可能になります。逆に言えば、まだボールに触れていないレシーバーに対して「タックル」することは禁じられています。守備選手はレシーバーがボールに触れた瞬間「タックル」を試み、ボールの確保を邪魔します。これによって「キャッチ」を阻止し、「パス」を不成功に終わらせようとします。レシーバーのキャッチミスや守備選手の妨害によって「パス」が不成功に終わることを「パス・インコンプリート」といい、その時点でプレー終了です。

まとめていえば、通常「ラン」は確実だが「ゲイン」つまり獲得距離が短く場合によっては「ロス」の可能性もある。「パス」は長距離の「ゲイン」が可能だが、「ゲイン」なしに終わる可能性があり、最悪「ターンオーバー」の危険性を持っている。
攻撃チームは性質の異なる「ラン」と「パス」の二つのプレーを状況に応じて使い分け、「ファーストダウン・10」の更新を狙うわけです。