プロフィール

野に咲く一輪のタンポポのようにヒッソリ暗躍中!?
じゃ、ランク入りはダメじゃん。
と、今頃気付く大馬鹿者。

徘徊癖がありそこら辺うろつきます、ご注意ください・・・。(気にしないでね~)

投稿画像は『しぃペイントツール』が使用困難のため、市販ソフトを使用中です。

その時気分のイメージ一発屋。
ストレスが限界を超えると、やたらと裸婦に走りますのでご注意ください・・・。

基本、『こらぼ』は全て可にしてます。
ご自由に、いじりまくって下さい。(笑

8月のカレンダー

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

バックナンバー

 

新着日記一覧

2013-08-03 20:25

痴話喧嘩

教室に入るのが、なんとなく恐い。
血の雨が降りそうな、嫌な感覚に満ち溢れている。

廊下でU子が待っていてくれた。

「いまK子、ご機嫌ナナメだから。
 気を付けて入った方がいいわよ?」

「当然だよな・・・。
 分かった、ありがとう。」

目の前であんな場面を見せられたら、
謝っても、そう簡単に許してくれないだろう。

それならば下手に刺激せず、普段通りに席へ着くしかないな・・・。

「おっす。」

「あら?
 隣のかたは、ド・ナ・タ・だったかしら?」

「お~い、K子さ~ん。」

「あらやだ、私の知らない人だわ。」

「あのね?
 それは、無いんじゃない?」

「気軽に・ワ・タ・ク・シ・に、話しかけないで・く・だ・さ・る・?」

「おいおい・・・。
 なんか、言葉が刺々しいぞ?」

「わたくし、知らない人には返事をするなって、親から教わってますの。」

「俺に一体、どうしろって言うの?」

「知らないわよっ!!
 さっさと、あの女のところへでも行っちゃえばっ!?」

「そりゃ無いだろ~。」

「もう、うるさい!」

「K子さん?」

「・・・・・・。」

「K子ちゃん?」

「・・・・・・。」

「やっほ~。」

「・・・・・・。」

「お~い。」

「・・・・・・。」

「K子~。」

「・・・・・・。」

「もう、どうすりゃ良いんだよ・・・。」

「じゃ、告白してよ!」

「・・・・・・・・・嫌だ。」

「なんでよ!?」

「おまえ・・・俺の気持ちぐらい、判ってるだろ?」

「そんなの、言ってくれなきゃ判らないわよ!」

「わかった、そのうちに言う。」

「いま、言いなさいよ!」

「だから、待ってろって・・・。」

「言わなきゃ、私も認めないからね?」

「いま言ったら最後、この先ず~っと、お前の尻に敷かれるだろうが。」

「・・・・・・ぷっ。」

そして、いきなりK子は笑い始めた。

「もしかして、それを今まで気にしてたの?」

「悪いか?」

「馬鹿ね・・・。
 でも、絶対に言わせて見せるからね?
 その時は、私の勝ちよ?」

本音を言ってしまえば、
『愛してる』などと言ったら、
K子を縛ってしまいそうで怖いのだ。

いまから、K子の恋愛の自由を俺が束縛して良い訳がない。
まだ、互いに中学生なのだから・・・。
2013-08-03 19:27

晴れ渡った朝空の下、いつものごとく集団登校最中である。
K子がウキウキしている。
何やら、良いことがあったらしい。

「じゃ~ん!
 発表で~す!!

 みんなが荷物持ってくれたりして、足の負担が少なかったから、
 明日あたりから『松葉づえ』いらなくなるみたいよ?」

「そりゃよかったな~。」
これで集団登下校も必要なくなりそうだ。
何やら、寂しいような気がしないでもない。

「やっと自分の足で歩けるね?」

「うん、U子ちゃんのおかげだよ~。」

「これもオレラのおかげだぞ~?
 感謝しろよ~?」

Yが話しをしている背後から、S美が割り込んできた。

「ちょっと、ゴメンなさい。
 しばらくの間、この人・・・借りるわね?」

と言いながら、S美は俺の腕を引っ張る。

「うわっ!ちょっと待って・・・!
 Y、荷物を頼む!」

俺は持たされている荷物をYにすべて預けて先に行かせた。
S美は普段と違い、かなり慌てている。

「どうしたの?いったい・・・。」

「昨日あなたに、姉が余計なことして・・・、ごめんなさい。」

「ああっ、そんな事か・・・。
 気にしてないから、もう心配するなよ。
 かえって、いまでも仲がいい姉妹で安心した。」

「そう言ってくれて、うれしいわ。」

「しかし・・・お姉さん、相変わらずだな?」

「でしょ?」

「受験だろうが何だろうが、やっぱり妹が一番可愛いんだね?
 あんなお姉さんが居て、君は幸せだよ・・・。」

「そう・・・。
 だから、もう一つの幸せも掴みとるの。」

「えっ!?」

「お願い!
 私を見ていてね?」
 
「まった!
 俺は、そんな真剣になるような男じゃないぞ?
 それにまだ、中学生なんだぞ?俺たち・・・。」

「でもあなたは、十分に大人よ?考え方が。」

ちょっと、お姉さん。
妹さんに、何を言ったの?
これじゃ、火に油を注いでますよ・・・。
2013-08-03 01:51

帰りのホームルーム少し前、U子が俺に駆け寄ってきた。
K子が居ないのを見計らって、耳元に話しかけてくる。

「あのね?
 いま、S美ちゃんのお姉さんが呼んでるんだけど・・・どうする?」

U子は同じO小学校出身のS美をよく知っている。
当然、S美の姉のことも知っていた。

大体、察しはついている。
S美姉妹はとても仲が良いので、予感はしていた。
おそらく、保健室での件だろう・・・。

「分かった、いま行くよ・・・。」

廊下に出てみると、S美の姉が待っていた。

「やぁ、しばらくぶりだね?
 もう生徒会に復帰はしないのかい?」

「お久しぶりです。
 もう基本が出来たので、私は必要ないでしょう。」

「そうか、残念だな・・・。
 後で少し、付き合ってもらえないか?」

「わかりました。」

「じゃ、私は先に校門前で待っているから。」

「何かあったの?」
U子がこそこそと聞きに来る。

「さぁ?分からないよ。
 先にK子を連れて帰ってくれるか?」

「うん、いいよ。」

あまりK子たちに心配をかけたくない。
これは、俺の問題だ・・・。

ホームルームが終わり、クラスメイト達が散っていく。

「じゃあ、U子ちゃん達と先に帰るね?」
女の勘なのか、K子は怪訝そうに俺を見た。

「ああ・・・。
 十分、気を付けるんだぞ?」

俺はK子たちを見送ってから、校門前に向かった。
そこにはS美のお姉さんが、既に待っていた。

S美の姉は男勝りで、絶えず優しい妹をかばっていた。
つまりS美をいじめた奴は、お姉さんにいじめ返されるのである。

ある意味、俺はS美を泣かせた。
当然の成り行きだろう。

「お待たせしました。」

「まぁ、歩きながら話そうか・・・。

 実は、いつぞやの晩に妹が部屋で泣いていてね。
 以来、元気もないんだ。

 事情を聴けば、君が妹を振ったらしいじゃないか。」

「ええ、そうなりますね・・・。」

「否定はしないんだな?
 なぜ妹を悲しませたんだい?」

「悲しませようとは思っていませんでした。
 しかし、結果的に悲しませてしまった。
 だからと言って、お姉さんに謝罪はしません。」

「なぜ?」

「これは私と妹さんの問題で、
 お姉さんが関わる問題ではないからです。」

「・・・・・・・。」

「正直、妹さんは気丈に振舞ってはいますが、根が優しすぎるんですよ。」

「なら、それで良いじゃないか?
 付き合いなさいよ、妹と。」

「それでは駄目なんです・・・、私の場合・・・。
 私の家は十数代続く旧家で、しかも総本家です。

 そして私は、総本家の当主になる人間です。
 当然、親類縁者が多いですから、
 それらを束ねていかねばなりません。」

「君の家は、そんな家柄なのかい?」

「そうです。
 ですから私は、周囲からの重圧に耐え、
 私と共に、一族を統括できる女性を選ばなければならないのです。」

「そこまで考えているのかい?
 しかしそれは、時代錯誤じゃ・・・。」

「でも、実際にあるんですよ。
 そういう世界が・・・。
 そして私は、そういう家に生まれ、育ってきたんです。

 真の強さがなければ・・・、優しさだけでは潰されてしまう。
 場合によっては、非情さも必要な世界なんです。」

「凄いな・・・、君は・・・。
 強い男だ・・・。」

「だから、仮に妹さんを迎え入れたとしても、彼女では自滅してしまう。
 そんな残酷なことは、私には到底出来ないのです。

 過去に、少しでも好意を抱いた相手でもあれば、なおさら・・・。」

「そうか、君は女性の事を真剣に考える、本物の大人の男なんだね?
 惚れた腫れたのぬかす、他のチャライ男達と全く違うよ。

 さすが私の妹だ。
 男を見る目は間違いなかったな・・・。

 私も君に、惚れてしまいそうだよ。
 君みたいな男と一緒になれる女は幸せだな?」

「褒めていただいて、ありがとうございます。」

「分かった。
 私からも妹を説得してみるよ。

 でも残念だな・・・。
 私は君みたいな男には、ぜひ義弟になって欲しかったよ・・・。」