技術科の授業が終わり、教室へ戻ってくると女子たちはいなかった。
まだ家庭科室から戻っていないようだ。
時間は12時、そろそろ昼でも食べようか。
「弁当食おうぜ~。」
一緒に戻ってきたYが弁当をひろげ始めた。
なにか忘れている・・・、なんだっけ?
腹の虫も鳴いている。
腹ごしらえすれば思い出すだろう・・・。
俺はYとメシを食い始めた。
さっさと食い終わってくつろごう、昼休みなどアッという間に終わってしまうのだ・・・。
ちょうど食い終わったころ、廊下が騒がしくなってきた。
家庭科室から戻ってくる女子たちだった。
教室内がいっきに騒がしくなる。
「あ~っ!?」
教室内をひときわ大きな声が鳴り響く、それはK子の声だった。
「たべちゃった~!?
もう馬鹿~~っ!!
あれだけ約束してたのに~ぃ!」
えっ?あっ!?そうだった~っ!!
なんか一方的だったけど、約束させられてた・・・。
周囲の女子がおしゃべりしていることを統合してみると、
どうやら調理実習が今日あったらしい。
そこから推測される結論は・・・。
「だ・・・だいじょうぶ!
まだ食べられる・・・よ?」
それしか言えないだろ、この状況下では・・・。
女を泣かせるのは性に合わん。
「ほんと?」
K子が何やら持っている。
何が出てくるんだ?
「ほ・・・ほんと、ほんと・・・。
大丈夫だから・・・たぶん・・・。」
くそ~この際、道連れがいるな・・・。
「な?Y君。
俺たち、まだまだ大丈夫だよな?
まだまだ食えるよな?」
ともかく腹を一つ確保する・・・。
悪いな・・・Y・・・。
「そう?
これ、私が作ったんだよ。
ぜ~んぶ、食べてね~?」
出されたのは『だし巻き卵』だ。
しかもタッパーに一杯・・・。
そういう事だったか~。
モルモットか俺は・・・。