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2013年01月30日 00:57

欲しいものは

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Good!
最近、若いときほど物欲がなくなっているのを自覚するわけだけど、去年は久しぶりに中華パッドで物欲炸裂。いまでも進化し続けている中華パッドは、あれば実際便利なのであと2、3台は欲しい。今すぐ欲しい機種が3個くらいあるので何ヶ月かすればさらにまた別の機種(月ごとに新型が出るので)が欲しくなるのは目に見えている。
とはいえ、限定だとか、レアだとか、若いころだとこれを買わないと死んでしまうというようなものでも最近は墓場まで持っていけるわけじゃなし、と、割と簡単にあきらめられるようになった。

といっても例外はあって、いまでも欲しいものは国書刊行会の世界幻想文学大系全45巻。これが刊行された当時は学校通いの身分だったので、とても買うだけのお金がなく、毎月刊行される各巻を本屋で見ては欲しい欲しいと思っていたのであった。
それでもハンス・ハインツ・エーヴェルスの「アルラウネ」(第2期27巻上下)の2巻だけは手に入れた。
ハンス・ハインツ・エーヴェルスは創土社の「吸血鬼」も買ったよ。高かった(当時3800円だったと思う。ケース入り、クロス装丁、パラフィンカバーという当時の高い本のスタイル全部入りみたいな本)。見つけてから買うまで1年くらい悩んだ。今ではなかなか古書にもでてこないらしい。復刊すればいいのに。吸血鬼ブームということでモンタギュー・サマーズ日夏耿之介訳の「吸血妖魅考」も復刻されたのにね。牧神社のやつは当時やっぱり買いました。赤と黄のむちゃくちゃ派手なケース入り。吸血鬼大好きだったので。当時はでも、吸血鬼関係の本を集めるのは大変だったんですよ。文庫から箱入りの高い本までいろいろ買いました。数は少ないので総額はそれほどの出費ではないんだな。現在ではいっぱい出てるから苦労しなくていいけどお金はかかりそう。今でている本は買ってませんけどね。
当時、高校生になった頃には、何ヶ月かに一度一人で本屋巡りをするのが趣味で、朝、当時住んでいた横浜の奥地から、町田に出て、町田から新宿、神田神保町、渋谷、のちに東京駅前に八重洲ブックセンター(当時最大の売り場面積を誇った)が出来てからは東京駅の場合もあり、そこから横浜へもどるというルートで一日中本屋を見て回っていたのだった。そんな片っ端から本屋を回っていたときでもハンス・ハインツ・エーヴェルスの「吸血鬼」を見たのは町田の本屋1件だけだったのだ。当時からすでに入手しづらい本だったのではあるまいか(子供にはそこまではわからない)。それも見つけてからわたしが買うまでずっとそこにあったので、それまで誰も買わなかったということになるよね。1970年代で3800円だからなあ。今だと1万円近い本ということになるのではないか。そういう本(9000円位するやつ)は今でもたまにありますけどね。

話がエーヴェルスと吸血鬼にずれてしまいましたが、欲しいのは国書刊行会の世界幻想文学大系全45巻なのだ。
なにしろ一度夢にまで出てきたくらいだから。夢の中で、あるとき古本屋に行くと、ふむ、まあこの古本屋はこんなものか、あれ、こんなところにも本棚がある、どれどれ、あ、なんだ世界幻想文学大系がごっそりあるではないか、やったね、なんだ、こんなところにあったのか、やったやった、あきらめずにさがしてみるものだな、でも買う前に目が覚めたのだ。
ああ、一度でいいから全巻本棚に並んだ様を観てみたい。
箱入り、箱に縦幅いっぱいの帯状紙カバー、書本体は透明パラフィンフィルムカバー、月報入りのスタイル。これが全部そろっているものはまず古書ではでてこない。たいていフィルムカバーが欠けているのだ。本はもっと丁寧に扱え、と思わず心のなかで叫んでしまう。箱の帯状紙カバーは背焼けしやすく、わたしの「アルラウネ」もけっこう変色してしまっている。残念でならない。残念だ。ああ、残念だ。紙というのも曲者で、汚れやすく痛みやすく破れやすいのだ。考えてみればふざけた装丁だな。もうちょっと扱いやすく出来なかったものか。国書刊行会は最近(でもないか)バベルの図書館も紙カバーで(紙が好きなのね)、痛みやすいので困る。もっともボルヘスの「パラケルススの薔薇」しか買ってないのでまあ痛んだらそれはそれでしょうがないかとあきらめるけど。
こないだ本屋に行ったら新編バベルの図書館とかでてましたよ。どうしよう。
たまに新宿の本屋にいって、おもしろそうな本はあるまいかと本棚を探し、タイトル、背表紙の装丁などから、これはおもしろそうだと手に取る本の80パーセントが出版社を見れば国書刊行会なのはどういうことなのか。どうしてオレの嗜好をこうもわかっているのか、お前はオレか、恐るべし国書刊行会。いつまでも栄えあれ、国書刊行会。

ちょっと本棚を整理していたら「アルラウネ」が出てきたのでふつふつと世界幻想文学大系欲しい病が再発してしまったというしだいであります。ああ、欲しいなあ。万が一入手できたとして、読むかどうかはちょっと定かではないけどね。