Savvy
author Ingrid Law 読了
Beaumont 一家には秘密がある。13歳になると、普通の人にはない不思議な力がそなわるのだった。長女の Mibs が13歳の誕生日を迎えようとしていたある日、父が事故にあい、意識不明のまま隣の州の病院に収容される。母と長男の Rocket は父の看護に。両親のいない誕生日、mibs は自分の savvy が眠っているものを起こす力であることを知り、不本意ながら教会で開かれた誕生パーティーを抜け出して、意識の戻らない父のために、病院のある街をめざすのだったが・・・。
いや、面白かった。
自分でもまだはっきりとはつかめない不思議な力を頼りに父のために行動を起こす Mibs (Mississippi)。だが行き当たりばったりの冒険は思い通りには運ばない。病院のある街から、教会に聖書を売りにきたピンクのバスにだまって乗り込んだのはいいものの、配達のために逆方向に走り出すバス。道ずれになった兄の Fish 。Mibs に好意的な教会の子供 Will とちょっとばかり不良なその姉 Bobbie。いつの間にかバスにいた無口な弟の Samson 。このキャラクターたちが絶妙。また、思わぬ客を運ぶことになったバスの運転手、Lester に、車の故障で困っていたところをバスに拾われるウェイトレスの Lill。この2人がまたいい。この二人の不完全な大人たちが、Mibs はもちろん子供たちに大きな影響を与えることに。
Savvy(本来の意味はよく精通した実用的な知識、あるいは、よく知ること。読んでいくとああそういうことなのかと納得するいいタイトルです。) とはいわゆる超能力だけど、いつも思うのだが、欧米の小説はこういう「能力」や「魔法」の組み立てが本当にうまい。
続編も出ているので、これも楽しみ。
ちなみにこの作品は2009年のニューベリー・オナー作品。ニューベリー賞にノミネートされた候補作です。同年のニューベリー賞はNiel Gaiman「The Graveyard book」でした。