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2011年06月03日 03:14

ここに技あり

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Good!
  • クルトガちゃん
というタイトルは東京12チャンネル、じゃなかった、テレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」という、ほとんど地上波を観なくなってからも、なるべく見るようにしている数少ない番組のうちのひとつ、経済ニュース・情報番組のなかの1コーナー。毎回日本の工業製品などを、実はここがすごい、という部分に着目して紹介してくれます。

そこで、シャーペン。
現在わたしは、主線の清書にシャーペンを使っています。線画以降はPCで処理するので、鉛筆線でも濃さが自由になるからです。
使用しているシャーペンは、鉛筆メーカー大手の三菱のブランドUNIが発売している「クルトガ」。鉛筆やシャーペンは大きさ、重さ、太さなど人それぞれの好みがあるので、一概にこれがいい、とはいえないんですが、クルトガには他のシャーペンにない驚異の(そこまでいうこたねえか)性能が。

クルトガは本体にラチェット機構を内蔵していて、線を引いた後に紙から芯を離すと、芯がちょっとだけ回転するんです。
鉛筆・シャープペンシルの弱点は、線を引くと、芯が削れて、どんどん太くなってしまうこと。シャーペンも芯の先端が斜めに削れてしまって、一定の細さを保つことが出来ないのは鉛筆ほどではないにしろ共通の弱点です。クルトガは芯が紙から離れるたびに芯をちょっと回転させ、常に尖った部分を紙に接触させることが出来るという優れもの。つまり常に細い線で字を書き続けられるというわけ。
発売当時(今から約3年前の2008年3月発売開始)はほとんど宣伝をしなかったにもかかわらず、あっという間に口コミで広がって、半年近く、品薄状態(ビジネス街でのはなし、普通の商店街の文房具店では普通に買えた)だったというヒット商品。

シャープペンシル(英語ではプロペリング・ペンシル芯送り出し式鉛筆、アメリカではメカニカル・ペンシル機械式鉛筆、当時は芯を保持する部分ををくるくるっと回して芯を送り出すアルキメディアン・スクリューを応用した方式)はなんと1822年の英国での発明で、すでに200年近い歴史を持つ製品だったんですね。すごいねイギリス、さすが世界に先駆けて産業革命しただけのことはある。日本では1910年代に早川兄弟商会金属文具製作所(現家電メーカーのシャープ)が、それまでセルロイド製で脆弱だった機械式鉛筆を頑丈な金属製として開発に成功、エバー・レディー・シャープ・ペンシル(いつでも尖った芯が用意できている鉛筆の意、日本名・常備芯尖鉛筆)の商品名で販売開始。シャープ・ペンシルという日本名はこの時誕生。そしてシャープの社名はこのシャープペンシルからだったんですね。今のシャーペンの特徴、ノック式の芯送り出し機構は1960年代に開発され、シャーペン製造各社がこの機構を採用。折れやすかった芯も大日本文具(現・ペンテル)がハイポリマーを利用した芯を開発(ペンテル・ハイポリマー100は、わたしもずっと愛用しています)。これで実用的な硬さになり、一気に普及。それからはサイドノック方式だとか、振って芯送りだとか、いろいろ新機構が考え出されましたが、結局芯送り出し機構はシンプルなノック式が最も採用され続けていますね。

そして21世紀。さらにシャーペンに新機能を付け加えようなんていう発想がいかにも日本的で、しかも細いシャーペンに芯保持部分を回転させる機構を入れてしまうという芸の細かさというか、技術の確かさというか、しかも値段が450円(だったと思う)。もちろん、すでに丸3年使っていますが壊れませんよ。すごいぜ日本。

イラストはそのクルトガ発売当時に広告パンフレットにのっていた女の子。あえていえばクルトガちゃんかな。決してこのキャラクターに惑わされてクルトガを買ったわけじゃありませんからね。

もうこれ以上、シャーペンの改良などはあるまいと思っていたら、今年シャーペンのもうひとつの弱点を解消する驚愕の(そこまでいうこたあねえよ)商品が。
今度は一回のノック時に送り出される芯の長さを調節できるという優れもの。わたしは意外と筆圧が高目なのか、2回送り出した状態ではよくぽきぽき折ってしまうんですよね。クルトガは芯の長さが適切なのかそんなことはないんですが、勢いで描いてしまいたい下書きや絵コンテの時に使っている100円シャーペンが良く折れる。しかし、芯の繰出し長さを調節できるなら、ちっと思いながらまた芯を出す、なんてことがなくなるわけですよ。
1回送り出した状態だとすぐ芯が減って長く描き続けられない。かといって2回では折れてしまう。そんな不満を解消してくれるのが、このシャープペンシル、ステッドラーREG 925 85-05。レグはレギュレーター(調節機構)のことだけど、数字の意味はわかりません。あ、クルトガは芯がクルっと回ってトガるからクルトガね。このへんのネーミングセンスはある意味おなじようなものですね。
ドイツですね。ステッドラーといえば、製図美術筆記用品では世界的な大企業。さすがだ、ドイツの技術はァ~世界一ィィィィィィイ!と、ドイツ人でなくとも叫びたくなりますな。でも買ってはいないんですけどね。お値段は1260円とクルトガの約3倍。うーむ、ドイツ製は車もシャーペンも高いなあ。