紙でいっぱいの箱を6つばかりあっちからこっちへどっこいしょと動かした後、場所換えした机でちいさなラベルに字を書こうとしたら手が震えて字がかけない。
なんということだ。字といえばキーボードばかりなのでついに手が字を忘れてしまったのか。なんとか無理やり字を描いたものの。こんなことは初めてだ。
絵だ。絵を描こう。と紙と鉛筆で絵を描こうとしたら線が引けない。いやまあ、鉛筆を動かせばもちろん物理的に線は引けるんですが、こういう場合当然思う場所に思うとおりの線がひけないとまあそういう意味ですわ。
もともと左から右へ水平に線を引くのがやや苦手だったのだが、もうそんなもんじゃない。右方向時に線を引こうとすると右手の親指がブルブルと震えてしまって線がうにゃうにゃになってしまうのだ。意思とは関係なしに震えるのだ。とまれとまれと念じてもなかなかいうことをきかない。おもしろいなあ。とかいっている場合じゃない。線が引けなければ絵が描けず、絵がかけないというのはもう死んだも同じ。とはいえ、右から左へは普通に線が引ける。上から下もOK。親指が掌方向に引くという動作に入ると震えてしまうのだ。手首を使う速い線なら引けるが、指の動きが重要なゆっくりと線をひこうとするともうだめ。これはいかん。よく脳がだめになると手が震えるというではないか。ある意味すでにダメな脳を抱えているのは自負しているがこの場合物理的にダメになるということなので、非常にまずい。脳の血管がどこやらぷちっといったのか?にしてはまったく痛みもなく、口はよくまわり、記憶も(普段からあやふやな程度には)確かだ。
しつこく30分くらい絵を描いていたら次第に震えが小さくなってきた。
何のことはない。重い箱をえっちらおっちら動かしたせいで腕が想像以上に疲れていたのだ。それその証拠に、いま(もう4時間くらいたっている)は自由自在(にも程度によるが、上記のように左から右への水平線はあいかわらず苦手)に線がひけるではないか。やれやれ。
その昔、手塚治虫先生が存命中にNHKスペシャルのインタビューで、年齢のせいで筋肉が衰え線が震えて丸が綺麗にかけないと嘆いておられた場面を思い出した。意思とは関係なしに、思うところへ線が引けなくなる。なんと恐ろしいことだろうか。ちょいと荷物を動かしたくらいですっかり腕が疲れてしまうというのもなさけないし、その疲れを自覚できないのもどうよ。なんていうか、年をとるとはこういうことなんだな、とそう思った次第であります。