塚田は空手で体を日夜鍛えて筋力も持久力も私よりはるかに高い
必死の抵抗もむなしく私の両手も両足も塚田に絡め取られ
身動きできなくいされてしまった・・
「どうだ、もう逃げられないぞ緋沙希!」
「嫌、放して!」
「こんな人気の無い所に誘って、緋沙希もその気あったんだろ?かくすなよ」
「無いわよそんな物!」
「こうして抱きしめるのは2年前のデート以来だな、あの時は夜の公園でいいムードだったのに巡回してたポリ工に見られて緋沙希は照れて逃げたけど、今日は警察も蒼井も邪魔者は誰も居ないからゆっくり楽しめる、キスよりもっと大人の体験もしてしまえば、もう照れたりしないぜきっと!」
塚田の言葉に秘められた狂気に私はぞっとした・・・
いつもに増して今日の塚田はハイテンションで私の言葉がまるで通じていない
体を密着させ自分の体を摺り寄せる行為に鳥肌が立つ!
「ああ、緋沙希はやわらかいな、こんな綺麗な子が俺の彼女でキスしていいなんて、俺は幸せ者だぜ!」
「嫌よ、キスなんて嫌・・お願いだからもうやめて!」
何とかして顔を背けようとする私に顎を右手で強引に正面を向かせ顔をつ近づける
もがいてもがっしりと顎を固定され動かせなず、されるがまま・・
(嫌、嫌、嫌・・・扉一枚向こうに小野寺君が居るのに、こんな奴にファーストキスを奪われるなんて・・そんなの絶対に嫌!!!)
悔しさに涙を浮かべても、無常に塚田の唇が迫る
「好きだぜ緋沙希!」
(違う私がそう言って欲しいのはあんたじゃない、私は・・私は・・小野寺君が!)
ファーストキスは好きな人と決めてた、そこでまた小野寺君を思い出す
(ああ、そうか・・恋に時間なんて関係ない、だって出会って間もないのに
私は小野寺君のこと、もうこんなに好きになってる)
でも、もう駄目・・そう思った・・せっかく自分の気持ちに気づいたのに
小野寺君を好きだと気づけたのに・・・こんな奴となんて嫌だ
小野寺君にこんな所を見られたく無かった・・でも、でも・・こんなのは嫌!
そう思った瞬間、私は声を張り上げて彼の名を呼んでいた!
「いや、嫌・・小野寺君、助けてえぇぇぇぇぇぇ!」
不意に塚田の体が揺れる、恐怖に閉じた目を開けると
塚田の唇がキス寸前で後ろから頭を捕まれ阻止されていていた
そして驚く塚田の後ろには助けを求めた小野寺君の顔があった。
「何だキサマは、その手を放せ!」
「うるさい、お前こそ深山さんを放せ!」
涙があふれる・・塚田にキスされそうに成った時の悔し涙じゃない
小野寺君の顔を見ただけでとまらない位あふれてくる・・
そして私は改めて確信した
(私は小野寺君に恋をしている)