放課後少し遅れて文芸部に行くと部屋の中から声が聞える
「小野寺、いい加減に言う事を聞け!」
「そんな心を無視した横暴はお断りです!」
怒鳴り気味の大きな声に私は部屋の前で入室を見合わせた。
「毎日部室に来てるならいいだろう、もう深山を部活に勧誘しろよ!」
「彼女は空手部の勧誘が嫌で隠れるために来てるんです!」
「顧問命令だ、小野寺!部員を確保しろ!」
「それじゃ塚田と同じです、何のために匿ってるんです!」
話は私の事だった・・
顧問の平井先生に私が入り浸っている事が知られ勧誘しろと言うのを
小野寺君は先生の言葉に反抗し私を守ろうとしてくれている。
「深山が入れば釣られる男も多いぞ!部員増員も夢じゃない!」
「僕が彼女を助けたのはそんな下心の為じゃありません!」
普段、部室で接している時の穏やかな笑顔の小野寺君とは思えない声
(小野寺君が怒ってる・・これって私の為・・話の内容からするとこれまでも先生から勧誘を迫られていた?ひょっとして今までも私の事を守ってくれていたの?)
そう思った瞬間、胸がドキドキと早鐘を打ち頬が熱くなる・・・
(私・・変だ、小野寺君に迷惑をかけてるのに、変な事考えてる・・どうしよう・・すごく嬉しい・・でも、どうして・・こんなに嬉しいのは何故何だろう?)
頭の中がぐるぐると回る・・自分の気持ちに整理が付かない
この気持ちは何?