塚田がその場を去った後、緋沙希は窓辺の椅子に案内される
「あ、ありがとう・・確か同じクラスの・・えーっと・・」
「小野寺・・小野寺浩作だよ」
部屋の中には本棚と大量の本の山が床にも平積みされている
しげしげと眺めていると浩作が説明をしてくれた
「歴代文芸部の叢書だよ・・大半はラノベだけどね・・・」
「凄く古そうだけど・・・」
「よし、塚田の奴は諦めたみたいだね、体育館に向かってる」
自分がほうけている間も浩作は塚田の監視をしてくれていたようで
体育館に歩いていく塚田の後姿にほっとする緋沙希
「その様子だと、声をかけて正解だったみたいだね」
「うん、正直言って・・付きまとわれて困ってるの」
「廊下のやり取りを聞く限りは、話も聞かないみたいだね・・」
「聞いてたの?」
「聞えたんだ・・ココ音結構響くし漏れるんだ」
「あいつのせいで私の高校生活が台無しになりつつあるわ、家に帰ればお父さんも丸め込まれて、したい部活が無いなら空手部を手伝ってあげたらどうだ?とか言うし、部活探そうにも付きまとわれて探せないし・・」
「あぁぁあああああー!もうやだあぁぁああああ!」
話す内に怒りを覚え声を荒げた緋沙希に浩作はコーヒーと差し出す
「インスタントだけどね、少しは落ち着くよ」
「あ・・ありがと・・」
(砂糖とミルクたっぷりでおいしい・・なんだかほっとする)
しばし沈黙し二人窓辺でコーヒーを飲む
しばらくなかった放課後のゆっくりとした時間
「ひとつ聞いても・・いい?」
「何?」
「何で助けてくれたの?」
「困ってるみたいだったからだけど、変かな?」
「ううん、ありがとう・・本当に助かったわ」
「隠れたい時はいつでもどうぞ、コーヒーくらいならいつでも出すよ」
「素敵な喫茶店ねww」
軽いジョークで笑いあってすっかりリラックスしたはずなのに
不意に緋沙希の鼓動が少しだけ早くなる。
(あれ・・何だろう・・ドキドキする?こんなにゆっくりしてるのに・・なんか変だ・・あれ?)
とかそんな感じで(笑)