いちえんじゅうえん

Tくんのママとお話した。
現在中1のTくんは小学生の頃から正しい敬語が使えるとっても礼儀正しい子。ちっこい弟や妹の面倒だけでなく周囲の小さい子によく気をつけてくれる優しいお兄ちゃん。これがおいらの知ってるTくんだ。

でも学校では違った。

毎日のようにクラスメイトとトラブルを起こして、ママは連日学校に呼び出されているらしい。成績は極めつけに悪い。テストも悪いけど「授業態度と学業への取り組み姿勢が悪い」からと通知表も最悪だ。

「ADHDの診断をもらいました」
とママは言った。
注意欠陥、多動性障害などと呼ばれる疾患。
おいらの周囲にはこのADHDの子が思いの外多い。

おいらはその方面の専門じゃないので自分の目で見てわかることしか言えない。素人目に思うこと。
どの子も実は頭悪くなんかない。
ただ不安が大きいと相手の話が聞けなくなるだけ。

要は安心させてやればちゃんと理解できるってこと。

ただしこれには時間がかかる。
例えばMちゃんはリラックスしてくれるのに10か月程かかった。Dちゃんはそろそろ2年目だけど、４～5回に1回くらいの頻度でおいらの言葉がわからなくなる。Hちゃんは一時ものすごい勢いでできるようになったのに、お家の引っ越しで一気に何もかもできなくなった。

だから根気が必要だし、途中で投げるのも態度を変えるのもよくない。
そんで「君の味方だよ」ってアピールし続けていくことが絶対。たとえ悪いことして叱っても「行為は悪いから叱るけど、君のことが好きなのは変わってないよ」って伝えること。でないと「嫌われた」ってパニック起こすからね。

「校長先生から『施設に入れた方がいいです』って言われたんです」
Tくんママ、ショックのあまり何にも返事できなかったって。

学校のいい分がわからないとは言わない。
彼は学校で人とのコミュニケーションが全くとれていないそうだから。
でもね、先生。周りに敵だらけ、の四面楚歌状態で人の話を聞く余裕って持てますか。おいらなんかビビりだから絶対無理。「敵なんかいないよ」って言っても味方がいなけりゃ同じことなんだって。

「間違えたら罵られるものなんだと思ってました。でもそうじゃなくて間違えてもいいんだって最近わかってきたんです」
この間Tくんが言ったセリフ。「何をそんな当たり前なことをｗ」っておいら軽ーく受け流しちゃったけど何となく学校の様子を想像した。

先生でも友達でもいい。
Tくんの味方がいてくれたらTくんの学校生活は変わるんじゃないのかな。彼の一生懸命に気がついてあげてください。